竜王戦予選で阿部健治郎七段が羽生九段相手に右玉!

プロの右玉

竜王戦予選1組、羽生善治九段 vs 阿部健治郎七段にて、阿部七段が右玉を採用してくれた。

阿部七段は若手強豪の居飛車党。三浦九段との共著もある。
一方の羽生九段は言わずとしれたレジェンド。竜王の称号は取り返したいところで、ここは負けられない。

戦型は一手損角換わりからの右玉組み換え。非常に見応えのある一局だったので、羽生ファンや右玉党以外の人もぜひ見て欲しい一局だ。

棋譜は以下からどうぞ
https://migigyoku.com/kifu/kf.php?kifu=20190116.kif

後手は一手損角換わりから右玉へ

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・v馬 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=4  △8八馬  まで

出だしは後手番一手損角換わり。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 玉 ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=32  △5二金  まで

腰掛け銀模様で後手は5二金。
最近は6二金型が多いので、少し珍しいが右玉の構想も含んでいるのだろう。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 玉 ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=34  △5一玉  まで

後手は再び玉を5一玉へ。一手損に加えてさらに二手の損。
なお、先手の歩が2五まで伸びているときは、この手が危険な場合もあるので注意しよう。本局は2六歩型なので問題ない。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=36  △6二玉  まで

後手はついに右玉へ。これで、一(三)手損角換わりvs腰掛け銀ということになった。

羽生九段の右玉対策

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
後手番
手数=37  ▲8八銀  まで

羽生九段の右玉対策は8八銀。
壁銀になるのでちょっと怖いが、6筋への戦力集中を狙っている。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
後手番
手数=41  ▲6九角  まで

7七桂から6九飛が羽生九段の継続した構想。

阿部七段、5五銀のぶつけから仕掛ける

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 桂 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=42  △5五銀  まで

阿部五段は積極的に5五銀。かなり積極的だが、ソフト的にもアリな手だ。

後手の持駒:角 銀 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 
後手番
手数=47  ▲6五歩  まで

銀交換のあと、2五歩、3三桂を入れたあと、羽生九段が6五歩から仕掛ける。

後手の持駒:角 銀 桂 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ 飛v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩 
後手番
手数=51  ▲6五飛  まで

桂交換から6五飛。ここで6四歩で安く収めるか、6四銀からしっかりと抑えるか悩むところ。ソフトによれば5四角打という手もあるようだ。

阿部七段はしっかりと6四銀打。飛車引きに6五歩打として、右玉は万全になった。

プロらしい駒打ちの応酬に

後手の持駒:角 桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩 
手数=54  △6五歩  まで

右玉側が6五歩とした局面。
非常に手が広く、先手としてもどこから手を付けてよいか難しいところだ。

後手の持駒:角 桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩 
後手番
手数=55  ▲5八桂  まで

羽生九段の選択は5八桂打
これはなかなか打てない。
後手からの6六桂打を受けた手だろうか。将来的に4七金と釣り出されたときの5八角打を消している意味もあるだろう。
ソフトの候補手にはないが、悪手というわけでもない。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v桂v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩 
手数=56  △4四桂  まで

対する阿部七段もすごい。
4四桂打!
3六桂や5六歩を狙っている。ソフトの候補手の1つでもある。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v桂v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩 
後手番
手数=57  ▲4七銀  まで

羽生九段は4七銀打。
これも貴重な手駒を手放すだけに、かなり打ちにくい銀だ。
これに対する阿部七段の次の手も読みにくいが、ソフト評価値的には盤上この一手に近いので予想してみて欲しい。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v桂v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂v角 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩 
手数=58  △2七角  まで

2七角打!
角が移動できる場所がないだけにかなり打ちにくいが、これが好手。
2九飛とされると角が死ぬが、3六桂と跳ねれば先手勝勢になる。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v桂v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 角 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂v角 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
後手番
手数=59  ▲2六角  まで

羽生九段は2六角打。こちらも狭いところの角打ち。間接的に王を狙い、3六桂と跳ねる筋をなくしている。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v歩v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・ 角v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂v角 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩 
後手番
手数=61  ▲4四角  まで

7二玉に対して、ばっさりと4四角。もったいない感じもするがソフト最善手でさすが羽生九段という感じだ。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂v角 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩 
後手番
手数=64  ▲2九飛  まで

2九飛。これで角は死んでいる。しかし、その前に角切りを敢行しているので局面は互角だ。

羽生九段、苦心の受け

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ ・ ・v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 桂 歩 
手数=66  ▲6九角  まで

飛車が角を取って浮いたところで6九角打。
この手が鋭い一手。金が避けると5七角成が王手。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 銀 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ 角 ・v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩 
後手番
手数=67  ▲5九角  まで

というわけで、ここは5九角打の一手。

後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v歩 歩 銀 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 金 ・ 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ 角 ・v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩二 
手数=70  ▲5六歩  まで

後手は3六歩、同銀に5六歩。これが厳しい一手。同歩は5六歩打が厳しい。

後手の持駒:歩 
後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v歩 歩 銀 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 ・ 金 桂 金 ・ ・ ・|八
| 香 ・ 玉 ・ 角 ・v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩二 
後手番
手数=71  ▲6八金  まで

というわけで、羽生九段は6八金。形は乱れるが苦心の受けだ。

後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v歩 歩 銀 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 ・ 金 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ 玉 角v金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 桂 歩二 
後手番
手数=77  △6九玉  まで

4八角成、同角、3八金打、5九角、4九金に6九玉と受ける。
飛車引きで受けたいが、5九金、同飛に4八角打がある。
羽生九段の強靭な受けが光り、差を与えない。

後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 金 歩 銀 ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 桂 飛 ・|七
| ・ 銀 ・ ・ 桂 ・v角 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金 桂 歩四 
手数=84  ▲3八角  まで

5七歩成、同金、5六歩打、同金、5九金、同玉に3八角打。
これが金・飛車取り。ただし、飛車には紐がついている。この局面でも評価値はほぼ互角。

羽生九段の寄せ構想

後手の持駒:飛 金 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・vと ・ 桂 銀 ・|七
| ・ 銀 ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金二 銀 桂 歩五 
手数=94  △5七と  まで

少し進んで上図。かなり受けにくい局面だが、ソフト評価値はまったくの互角。ただし、最善手以外の手は一気に後手勝勢となる。
相当な棋力がないと、以降の構想は読めないはず。
次の一手問題としても秀逸なので自信があれば読み切って欲しい。

後手の持駒:飛 金 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・ ・ 銀v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・vと ・ 桂 銀 ・|七
| ・ 銀 ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金二 桂 歩五 
後手番
手数=95  ▲7三銀  まで

正解は7三銀打!
この手以外は後手勝ち。7三金でもダメ。

この銀は取ると詰み。
変化はいろいろあるが、プロレベルならわかるのだろう。
というわけで、逃げるしかない。

後手の持駒:飛 金 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・v玉 ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩 全v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・vと ・ 桂 銀 ・|七
| ・ 銀 ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金二 桂 歩六 
後手番
手数=97  ▲8四全  まで

8三玉と交わした手に対して7四銀成が絶妙手。

後手の持駒:飛 金 銀 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v玉v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 角 ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・vと ・ 桂 銀 ・|七
| ・ 銀 ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 玉 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 桂 歩六 
後手番
手数=99  ▲6六角  まで

同玉とするしかないが、6六角打が実現し、王手とで自玉が安全になった。
この時点でも評価値は互角。名勝負といってもよいだろう。

最終盤まで互角の名勝負

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v玉v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 金 ・ 桂 銀 ・|七
| ・ 銀 ・ 玉 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 桂v角v飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 歩七 
後手番
手数=109  ▲6八玉  まで

終盤の局面。後手は駒がないのが非常に辛いところ。
ここもいろいろな手があるが、やや先手に形勢が向いてきたかもしれない。次の一手で大きく差がついてしまった。

後手の持駒:銀 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ 馬 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v玉v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 金 ・ 桂v龍 ・|七
| ・ 銀 ・ 玉 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 桂v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 歩七 
手数=110  △2七龍  まで

2七飛成で銀を取る。戦力拡大が先手陣が安全に。

後手の持駒:銀 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩v玉v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩 馬 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 金 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 ・ 玉 桂 ・v龍 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 桂v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 銀 歩七 
後手番
手数=113  ▲6五馬  まで

7五歩と堂々と銀を取り、3八龍に6五馬。これで形勢は後手に優勢に。

後手の持駒:桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二
|v玉 ・ ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩 銀 歩v銀 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ ・ 金 馬 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 金 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 ・ 玉 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・v龍v角 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金 歩八 
後手番
手数=119  ▲8四銀  まで

最後は8四銀打で後手投了。
以下は、同飛、同金、同玉、8一飛打、8三銀打、8五金打、9三玉、6四馬とした局面が必死(以下変化図)。

後手の持駒:金 桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
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|v香 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・ ・ ・ ・|二
|v玉v銀 ・v銀 ・ ・v桂v歩 ・|三
|v歩 ・ 歩 馬 ・v歩 ・ ・v歩|四
| ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 金 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 ・ 玉 桂 ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・v龍v角 ・ 香|九
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先手の持駒:銀 歩八 
後手番
手数=127  ▲6四馬  まで

阿部七段の投了もやむなしか。
しかし、銀多伝を駆使し、後手番一手損角換わり右玉ながら、互角以上の将棋を見せてくれて、右玉党の参考となる一局だったといえるだろう。
阿部七段の今後の活躍に期待したいところだ。