2019年2月8日に開催されたC級順位戦・上村亘四段 vs 八代弥六段の一局は、なんと相右玉に! 右玉党にとって見逃せない一局となった。ちなみに相わたる対局でもある。
上村四段はTwitter@kamimurawataruでも有名。ドラマ版将棋めしの監修も務める。
対する八代六段は朝日杯優勝の実績がある若手ホープ。レーティングも上位の強豪だ。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ。
第77期順位戦 C級2組 10回戦上村亘四段vs八代弥六段
先手、角交換をしない右玉へ
先手が飛車先を伸ばしても後手は受けず。昔はなかった手だが、最近は飛車先の歩は切らせても問題ないとされている。
飛車を引いたところで、2三歩打。この歩を打たないと2四歩打と垂らされてゲームセットとなる。
先手は早くも右玉の態度を表明。用意の作戦かもしれない。
後手も右玉となり相右玉の戦いに
はじめは玉を左に寄せた後手だが、右へ移動して右玉へ。
後手も飛車を引いて相右玉となった。アマチュアではよく見かけるが、プロでは非常に珍しい形だ。
(プロの相右玉の棋譜がご存知であれば、ぜひ掲示板にお願いしますm(_ _)m)
後手、地下鉄飛車を狙う
後手は3三桂と跳ねたあと、1二香。
これは右玉の天敵である地下鉄飛車を狙った手。
ちなみにソフトはこの手に変えて1三角を推奨していた。1三角から3五歩を狙うことで、後手優勢。
先手の対策は1八香。
1一飛に対して、1九飛と回る。この手を入れておけば、即1五歩から潰されてしまう心配はない。
2四歩に対して、2六歩打としっかり受ける。しかし、ここで歩を打たなければならないは先手が少し苦しいか。
端を巡る激しい攻防
後手は3五歩から手を作る。
右玉なので戦場から遠く、かつ相手の玉頭なので狙いたい手だ。
同歩、同銀、3六歩打のあと、2五歩。後手の駒が前進している。
先手は苦しいながら受けるしかない。
同歩に対して、後手は待望の1五歩!
同歩、2五桂、同桂、同銀に対して、先手は2四桂打で反撃。
金を狙うというよりも、1二の香は外しておきたいところだ。
4二金に3七金としたところで、2六桂打。
この手で後手は完全に優勢な局面に。
3三角と桂に当てて催促し、1二香、同飛、1七香と逃げる。
この局面は後手からの手が豊富で先手は苦しい。
1六歩打、同香、1八歩打、2九飛、1六銀、2六金、2三香打。
この香車打ちも厳しい。
2五歩打と受けるが、同香と構わず取って、同金に1九歩成。
取ってしまうと金をポロっと取られるので縦に逃げるしかない。
2五銀、同飛に1五角が王手で入る。
5八玉と逃げるが、2四歩打として、飛車を3筋に移動させてから3七角成。
飛車成も確実で、後手の攻めが決まっている。
八代六段、確実に寄せる
飛車を五段目が動かして守備力を下げたところで、八代六段は寄せの包囲網に入る。
次の三手一組を予想してほしい。
4七馬と馬をばっさり切って、同玉に4九銀打!
これで玉は一気に狭い。寄せのお手本のような手筋だ。
少し進んで以下の局面。ここで八代八段は4七桂成として、上村四段は投了。
しかし、ここでは7手詰めがあった。形勢が大差なので安全に行ったが、贅沢をいえばここは詰み筋にいれてほしかったところ。
どのように詰ますか考えてみてほしい。
正解はこちら。
上村四段のTwitterによると、地下鉄飛車を軽視してしまったそう。
というわけで、プロでは珍しい相右玉の一局でした。
右玉NOWは今後も上村四段と八代六段を応援します!