右玉の種類はいろいろあるが、もっともメジャーなのは角換わり(角交換)右玉だ。
名前の通り、角交換をしてから右玉にする方法で、プロ棋戦でも多く出現する人気の作戦になっている。
このページでは「角換わり右玉インデックス」として、角換わり右玉の基本と関連するページへのリンクを紹介していきたい。
角換わり右玉の基本図
角換わり右玉は大きく分けると7七銀型の「角換わり(角交換型)矢倉右玉」と、6七銀型の「角換わり(角交換型)風車右玉」の2種類に分かれる。
人気があるのは角換わり矢倉右玉で、まずはこちらを指すことをおすすめしたい。
角換わり矢倉右玉
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 ・ 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=1 ▲7七銀(88) まで
もっともオーソドックスな角換わり右玉。ここから6六銀と繰り出していくのが王道。
角換わり風車右玉
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=1 ▲6七銀(88) まで
こちらも当然有力。左桂を使いやすく、8筋に飛車を振って戦うことが多い。
角換わり右玉のメリット
角換わり右玉のメリットは、角打ちに強い陣形であること。飛車が下段に利いていて、打ち込み隙がない。そのため、自陣への打ち込みはそれほど気にする必要はない。
一方で、右桂の桂頭を狙うような角打ちは厄介な相手となる場合があるので注意したい。
また、相手から意外と攻めにくいことも大きなポイント。千日手に持ち込める可能性が高いのだ。
正調角換わりと一手損角換わり
角換わりには手損のない正調の角換わりと一手損する角換わりがある。
違いについては以下のエントリで確認してほしい。

後手番一手損角換わりに対しては、早繰り銀が天敵となるため右玉にしにくい。その場合は四間飛車にして対抗するなどの工夫が必要になる。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・ ・v飛v金 ・ ・|二 |v歩v歩v歩v銀v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | ・ ・ 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・|六 | 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ 銀 ・ 玉 ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=18 △4二飛(82) まで
一手損角換わりから四間飛車にした図。ここから右玉にすることもできる。糸谷哲郎八段や丸山忠久九段が得意にしている形だ。
以下のエントリも参考にしてほしい。

角換わり右玉に対する相手の作戦
角換わりの将棋すべてにいえることだが、相手の作戦は早繰り銀、腰掛け銀、棒銀の3種類が主流で、相手も右玉にする相右玉が考えられる。それぞれの作戦でさらに細分化されるが、まずはよくある形と簡単な注意点だけは抑えておこう。
早繰り銀
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉 ・v銀 ・|二 |v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三 | ・ ・v歩v銀 ・ ・v歩 ・ ・|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角
右玉にとっては危険な相手。とくに一手損角換わり右玉の場合にとっては天敵中の天敵となる。
対策の手筋として以下のエントリを参考にしてほしい。

腰掛け銀
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金 ・v金v玉 ・|二 |v歩 ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩v歩|三 | ・ ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角
角換わりのスタンダード。右玉でも十分戦えるが、細かいバリエーションがあるのでそれぞれ対応の必要がある。
対策の手筋も多く、以下のエントリを読んでほしい。








棒銀
後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v歩v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三 | ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四 |v銀v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩
棒銀は銀香交換の駒損を厭わず端を突破してくる作戦。右玉に組んでしまえばそれほど怖くはないが、当然こちらが組み上がる前に攻めてくる。そのため対策は必須。以下のエントリのような積極的な対応がおすすめだ。

相右玉
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 手数=34 △6二玉(51) まで
近年の右玉人気から相右玉も珍しくない。端攻めや桂頭攻めがポイントになるので、自分だけが仕掛ける形にしたい。
角換わり右玉必須の手筋
角換わり右玉には多くの手筋がある。とくに、飛車(角)先の歩を切ってきた瞬間にはチャンスが生じやすい。以下のエントリを参考にしてほしい。








対策は必須! 角換わり右玉の天敵
右玉が人気になるにつれ、多くの角換わり右玉対策が考えられている。右玉を指しこなすためには、対策への対策も理解しておく必要がある。
筋違い角
右玉の天敵となるのは筋違いの角打ち。とくに△5四角打(先手が右玉の場合)はやっかいな相手となる。
参考エントリは以下。

また、筋違いに打つ遠見の角も危険な相手だ。以下のエントリを参考にしてほしい。

地下鉄飛車
地下鉄飛車から端を攻めるのは右玉対策の王道。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 ・ ・ 桂 ・ ・|七 | 香 銀 玉 金 ・ 金 ・ ・ ・|八 | 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 後手番 手数=59 ▲9九飛(29) まで
対策方法としては飛車を浮いて受ける、端はあきらめて玉を早めに逃げる、角打ちで受ける、右玉側も香上がりから飛車も合わせて受ける、などが考えられる。これら対策については今後まとめていきたい。
プロの実戦例も参考にしてほしい。

端攻め
地下鉄飛車がなくても端攻めは右玉のウィークポイント。具体的には香を釣り上げてから、▲9二角打などの手順だ。具体的には以下のような局面となる。
後手の持駒:角 桂 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・v玉v金 ・ ・v金 ・ ・|二 | 歩 ・v桂v銀v銀 ・ ・v歩 ・|三 | ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四 |v歩v歩 歩 ・v歩v桂 ・ 飛 ・|五 | ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 銀 歩 金 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 後手番 手数=63 ▲9三歩打 まで
対策方法などは以下のエントリで紹介しているので考えてみてほしい。

飛車を展開しての桂頭攻め
相右玉などでよくあるが、左金を2筋(8筋)に移動させてから飛車を展開し、桂頭を狙うという指し方がある。
具体的には以下図のような形だ。
後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v飛v桂v香|一 | ・ ・v玉 ・v金 ・ ・v金 ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v銀 ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 桂 歩 ・ 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩 手数=44 △4四銀 まで
うまく受けないと簡単に潰れてしまうので、対応方法を知っておきたい。以下エントリを参考にしてほしい。

王手金取りの筋
角換わり右玉でよく発生するのが角打ちによる王手金取りの筋。桂頭の歩を叩かれて、右銀を呼んでから角打ち
というのがよくあるパターンだ。具体的には以下図となる。
後手の持駒:銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二 | ・ ・ ・v金v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・v角 歩 銀 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ 玉 ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 銀 桂 手数=1 ▲5六角 まで
この筋に対する考えだが、基本的には食らわないように注意するのが一番だが、終盤であれば金損で馬を作られても馬がそっぽに行くので被害は少ない可能性がある。
また、桂頭の歩打から桂損を感受して王手金取りを防ぐ、というのもありだろう。
角換わり右玉を扱っている棋書
角換わり右玉を棋書で勉強したい、というのであれば青嶋未来六段の「現代右玉のすべて」がよいだろう。扱っている半分は角換わり右玉だ。また、絶版だが細川大市郎アマの「とっておきの右玉」はすべて角換わり右玉となっている。ただ、入手が難しいほか、情報はやや古い。将棋YouTuber牙狼さんの「右玉を指しこなす本 対4八金型編」も角換わりの将棋だ。「右玉伝説」など、ほかの右玉本はほとんど角換わり右玉を扱っていないので注意したい。
最後
以上、角換わり右玉のインデックスでした。
右玉NOWでは、これから重点的に角換わり右玉を扱っていく予定。このインデックスページも充実させていきたい。
というわけで、今後もよろしくお願いします!