右玉の種類はいろいろあるが、もっともメジャーなのは角換わり(角交換)右玉だ。
名前の通り、角交換をしてから右玉にする方法で、プロ棋戦でも多く出現する人気の作戦になっている。
このページでは「角換わり右玉インデックス」として、角換わり右玉の基本と関連するページへのリンクを紹介していきたい。
角換わり右玉の基本図
角換わり右玉は大きく分けると7七銀型の「角換わり(角交換型)矢倉右玉」と、6七銀型の「角換わり(角交換型)風車右玉」の2種類に分かれる。
人気があるのは角換わり矢倉右玉で、まずはこちらを指すことをおすすめしたい。
角換わり矢倉右玉
もっともオーソドックスな角換わり右玉。ここから6六銀と繰り出していくのが王道。
角換わり風車右玉
こちらも当然有力。左桂を使いやすく、8筋に飛車を振って戦うことが多い。
角換わり右玉のメリット
角換わり右玉のメリットは、角打ちに強い陣形であること。飛車が下段に利いていて、打ち込み隙がない。そのため、自陣への打ち込みはそれほど気にする必要はない。
一方で、右桂の桂頭を狙うような角打ちは厄介な相手となる場合があるので注意したい。
また、相手から意外と攻めにくいことも大きなポイント。千日手に持ち込める可能性が高いのだ。
正調角換わりと一手損角換わり
角換わりには手損のない正調の角換わりと一手損する角換わりがある。
違いについては以下のエントリで確認してほしい。
角換わりと一手損角換わりの違い、それぞれのメリットとは?
角換わりとは、序盤早々角交換をする作戦ですが、大きく分けると普通の角換わりと一手損角換わり(正式には「後手番一手損角換わり」)の2種類があります。 今回は右玉党のために(それ以外の方もOKですが)、それぞれの違い、メリット・デメリットなどを...
後手番一手損角換わりに対しては、早繰り銀が天敵となるため右玉にしにくい。その場合は四間飛車にして対抗するなどの工夫が必要になる。
一手損角換わりから四間飛車にした図。ここから右玉にすることもできる。糸谷哲郎八段や丸山忠久九段が得意にしている形だ。
以下のエントリも参考にしてほしい。
右玉党が知っておきたい一手損角換わり対早繰り銀からの四間飛車・初級編
一手損角換わりに対して、先手が早繰り銀で最短に攻めてきた場合、即右玉にするのは苦しい。具体的には以下のエントリを参考にしてほしい。 具体的な局面は以下。 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +----------------...
角換わり右玉に対する相手の作戦
角換わりの将棋すべてにいえることだが、相手の作戦は早繰り銀、腰掛け銀、棒銀の3種類が主流で、相手も右玉にする相右玉が考えられる。それぞれの作戦でさらに細分化されるが、まずはよくある形と簡単な注意点だけは抑えておこう。
早繰り銀
右玉にとっては危険な相手。とくに一手損角換わり右玉の場合にとっては天敵中の天敵となる。
対策の手筋として以下のエントリを参考にしてほしい。
流行中! 早繰り銀に対する右玉の対策
早繰り銀が流行中である。 速攻で銀を繰り出され、角切りからあっという間に龍を作られて敗勢になってしまった、という人も多いだろう。 具体的にはこんな局面だ。 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------...
腰掛け銀
角換わりのスタンダード。右玉でも十分戦えるが、細かいバリエーションがあるのでそれぞれ対応の必要がある。
対策の手筋も多く、以下のエントリを読んでほしい。
右玉の定番! 腰掛け銀に対する桂頭攻め
右玉と腰掛け銀が相対した場合、攻める右玉は4四銀(後手番の場合)と、銀を繰り出していく。 このとき、3七の桂頭を狙うのは右玉の常套手段だ。 桂頭を狙う3五歩! 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +-------------...
右玉次の一手! 5二金型のスキを逃さない
まずは図を見て次の一手を予想してみてほしい。 図は、5五の地点で銀交換し、矢倉側が6四角と打って、5五の歩を狙ってきた場面。 5六銀打などが見えるかもしれないが、相手陣に大きなスキがあるので見逃してはいけない。
右玉次の一手! 相手が飛車先を切ったときはチャンスがあるかも
前回のエントリ同様、図を見て次の一手を予想してみてほしい。 銀交換したあと、矢倉側が飛車先を切ってきた局面。 アマチュア同士の対局では、よく見かけるが、後手に大きな欠陥がある。 次の一手は? 8七歩打などはヌルい。
金銀4枚で固めた相手への右玉の対策
右玉 vs 腰掛け銀模様から、銀を4三銀と引いて守りを固めてくる相手がいる。個人的にはやっかいと感じる作戦で、右玉に対する無理攻めが通ってしまうことがあるのだ。 テーマ図は以下の通り。 後手の持駒:角 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +...
角交換右玉 vs 腰掛け銀4七角打との戦い
角交換型右玉と腰掛け銀との戦いで、右玉が銀交換を仕掛けた画面。 ここで先手は4七角打という手がある。 テーマ図は以下の通り。 先手の狙いは7筋の桂頭。しかし、持ち歩がないために、即桂頭狙いはできない。 右玉側は4四歩や3三桂が自然。ここでは3三桂としたときの対応方法を見ていこう。
油断をすると潰される!? 角換わり腰掛け銀 vs 右玉の2六角打への対策
角換わり腰掛け銀と右玉との戦いで、2六打という筋が出てくることがある。 一見するとボンヤリしているが、危険な手だ。 テーマ図は以下の通り。 4筋の歩を交換しつつ、銀を活用しようという4四歩に対して、2六角打。 対応には十分注意しよう。
角交換型右玉と腰掛け銀のソフト研究 その1
以下のテーマ図は、右玉 vs 腰掛け銀の対局で頻出する局面。 手番は先手の腰掛け銀。ソフトで検討しても数値はほぼ互角だ。 そこで、「dolphin/illqha1.1」を使い、10秒将棋で60局ほど対局させてみた。 「dolphin/illqha1.1」については、以下のエントリを参考にしてほしい。
角交換型右玉と腰掛け銀 次の一手
前回のエントリで角交換型右玉と腰掛け銀のソフト対局を紹介した。 この中で意外な手、覚えておきたい手筋などが発生した局面を右玉次の一手として紹介したい。 なお、作れられた次の一手のように、目のさめるような一着があるわけではなく、あくまでも優位...
棒銀
棒銀は銀香交換の駒損を厭わず端を突破してくる作戦。右玉に組んでしまえばそれほど怖くはないが、当然こちらが組み上がる前に攻めてくる。そのため対策は必須。以下のエントリのような積極的な対応がおすすめだ。
棒銀に対する歩を垂らす対策
右玉に対する棒銀はよくある対抗手段。歩の垂らしから積極的に対応する方法を紹介しよう!
相右玉
近年の右玉人気から相右玉も珍しくない。端攻めや桂頭攻めがポイントになるので、自分だけが仕掛ける形にしたい。
角換わり右玉必須の手筋
角換わり右玉には多くの手筋がある。とくに、飛車(角)先の歩を切ってきた瞬間にはチャンスが生じやすい。以下のエントリを参考にしてほしい。
対4六角型 飛車を捕獲する右玉の罠
右玉には、相手がついウッカリしてしまう罠がたくさん存在する。 しかし、罠自体に自分が気がついていないと意味がない。そこで、右玉の罠を紹介していこう。
右玉に対して、角換わり5二金型から飛車先を交換してきたときの対処
対矢倉に対して、右玉が▲6六に銀を繰り出したことに対し、角換わり5二金型側が飛車先を切ってきた局面を検討してみよう。右玉の基本的な手筋なので、必ず覚えておきたい。 飛車先切りには大人しく対応しないのが右玉 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6...
右玉次の一手! 相手が飛車先を切ったときはチャンスがあるかも
前回のエントリ同様、図を見て次の一手を予想してみてほしい。 銀交換したあと、矢倉側が飛車先を切ってきた局面。 アマチュア同士の対局では、よく見かけるが、後手に大きな欠陥がある。 次の一手は? 8七歩打などはヌルい。
角交換右玉 vs 穴熊で飛車先の歩を切ってきた場合の対策
右玉にとって、相手が飛車先の歩を切ってきたときはチャンス。 素直に歩打ちで収めないのが、右玉の極意になる。 (そのうちケース別にまとめたいところ) 今回は相手が穴熊場合を検討してみよう。テーマ図は以下の通り。 安全な手は当然ながら8七歩打ではあるが、チャンスを逃してしまう。 穴熊のように金銀が一方に固まっている場合は、角打ちのスキがあることが多い。
角換わり右玉 vs 6四角型から8筋の歩交換を角で取る場合の対策
角換わり右玉を指していてよくあるのがこの局面。 (実戦から見やすいように戦後反転してあります) 角換わり右玉で、後手が6四角と打ち、8筋の歩を交換しようとしてきたところ。 8七歩打は穏やかだが、それでは面白くない。積極的に有利を拡大しよう。
角換わり右玉で飛車先歩交換されたときの対応方法をプロ棋士の実戦から紹介!
角交換右玉で相手が飛車先の歩を交換されたときに、素直に歩を打って収めるのは悔しい。 もちろん、歩を打ったほうがよいときもあるが、それ以外の手で有意になることもある。詳しくは「飛車先歩交換への対応」カテゴリを見てほしい。 今回は、2018年の...
右玉次の一手 飛車先交換の大きなスキを見逃さない
久々に右玉次の一手を紹介。右玉初心者向け。 アマ同士の対局からで、テーマ図は以下の通り。 後手の持駒:角 銀 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉...
対中住まい、中住まい側が飛車先の歩を切ってきた場合の手筋
今回は右玉の天敵ともいえる中住まいに対し、中住まい側が飛車先の歩を切ってきた場合の7五歩からのちょっと変わった手筋を紹介したい。 動画で視聴したい場合はこちら テーマ図 後手の持駒:角 歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +------...
対策は必須! 角換わり右玉の天敵
右玉が人気になるにつれ、多くの角換わり右玉対策が考えられている。右玉を指しこなすためには、対策への対策も理解しておく必要がある。
筋違い角
右玉の天敵となるのは筋違いの角打ち。とくに△5四角打(先手が右玉の場合)はやっかいな相手となる。
参考エントリは以下。
角交換風車右玉と5四角打の戦い
角交換型6七銀型の右玉(風車右玉)に対し、矢倉側が△5四角打と打ってくることがある。 3筋、7筋の桂頭を狙う手で、初見では受けづらく、対応を間違えると、すぐに潰されてしまうだろう。 実際、△5四角打ちがソフトの推奨手になることも多い。 後手...
また、筋違いに打つ遠見の角も危険な相手だ。以下のエントリを参考にしてほしい。
右玉の天敵・遠見の角対策その1
右玉対策として使われるのが遠見の角。 とくに筋違いで放たれる1八角(9二角)には苦戦することが多い。 今回のテーマ図は以下の通り。 早繰り銀 vs 右玉模様から、先手は銀交換を避けて9八角と設置。 放置すれば、当然6三角成、同金、7二銀打がある。 気合で右玉にする6二玉、強襲を防ぐ8二飛などが考えられるが……。
地下鉄飛車
地下鉄飛車から端を攻めるのは右玉対策の王道。
対策方法としては飛車を浮いて受ける、端はあきらめて玉を早めに逃げる、角打ちで受ける、右玉側も香上がりから飛車も合わせて受ける、などが考えられる。これら対策については今後まとめていきたい。
プロの実戦例も参考にしてほしい。
村中秀史七段、朝日杯オープンで右玉! 地下鉄飛車への対応は?
2019年12月26日に行われた朝日杯将棋オープン戦二次予選で、後手番の村中秀史七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。 村中秀史七段といえば、最近は将棋YouTuberとしてもお馴染み(【プロ棋士】むらチャンネル) 人狼も強く、「諸悪」...
端攻め
地下鉄飛車がなくても端攻めは右玉のウィークポイント。具体的には香を釣り上げてから、▲9二角打などの手順だ。具体的には以下のような局面となる。
対策方法などは以下のエントリで紹介しているので考えてみてほしい。
幻の妙手があった角換わり右玉の一局を紹介(2018年の順位戦より)
今回は2018年の順位戦C級2組、村田智弘六段 vs 高野智史四段の一局を取り上げたい。 この対局では角換わりから後手の高野四段が右玉に構え、右玉ならではの指し回しで序盤を優位に進める。 端攻めへの対応や王手金取りを事前に防ぐ手なども登場す...
飛車を展開しての桂頭攻め
相右玉などでよくあるが、左金を2筋(8筋)に移動させてから飛車を展開し、桂頭を狙うという指し方がある。
具体的には以下図のような形だ。
うまく受けないと簡単に潰れてしまうので、対応方法を知っておきたい。以下エントリを参考にしてほしい。
角交換型の相右玉・桂頭をめぐる戦い
角交換した合右玉で見かける手が3筋からの桂頭攻め(後手から攻める場合)。 強烈な攻め筋とは言えないが、下手に受けてしまうと、一気に崩壊してしまうこともあるので、あらかじめ対策は考えておきたい。 △2二金と寄って桂頭攻めを準備 後手の持駒:角...
王手金取りの筋
角換わり右玉でよく発生するのが角打ちによる王手金取りの筋。桂頭の歩を叩かれて、右銀を呼んでから角打ち
というのがよくあるパターンだ。具体的には以下図となる。
この筋に対する考えだが、基本的には食らわないように注意するのが一番だが、終盤であれば金損で馬を作られても馬がそっぽに行くので被害は少ない可能性がある。
また、桂頭の歩打から桂損を感受して王手金取りを防ぐ、というのもありだろう。
角換わり右玉を扱っている棋書
角換わり右玉を棋書で勉強したい、というのであれば青嶋未来六段の「現代右玉のすべて」がよいだろう。扱っている半分は角換わり右玉だ。また、絶版だが細川大市郎アマの「とっておきの右玉」はすべて角換わり右玉となっている。ただ、入手が難しいほか、情報はやや古い。将棋YouTuber牙狼さんの「右玉を指しこなす本 対4八金型編」も角換わりの将棋だ。「右玉伝説」など、ほかの右玉本はほとんど角換わり右玉を扱っていないので注意したい。
最後
以上、角換わり右玉のインデックスでした。
右玉NOWでは、これから重点的に角換わり右玉を扱っていく予定。このインデックスページも充実させていきたい。
というわけで、今後もよろしくお願いします!