角交換型6七銀型の右玉(風車右玉)に対し、矢倉側が△5四角打と打ってくることがある。
3筋、7筋の桂頭を狙う手で、初見では受けづらく、対応を間違えると、すぐに潰されてしまうだろう。
実際、△5四角打ちがソフトの推奨手になることも多い。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v角v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 先手番 手数=40 △5四角 まで
これが問題の局面。対応方法を検討していこう。
手筋の▲6五歩
右玉側の対策として推奨するのが、▲6五歩だ。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v角v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 後手番 手数=65 ▲6五歩 まで
△同歩もしくは△同桂の場合
対応として考えられるのは、△同歩もしくは△同桂。
△同桂に対して、▲同桂、△同歩なら▲7三角打で馬が作れる。△同角なら▲5六歩。いずれも、わずかに右玉がよし。
△同歩は、▲5五角打。
後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 角 ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 後手番 後手番 手数=43 ▲5五角 まで
△8三飛と受けたところで、▲4五歩、△同歩、▲5六銀。
後手の持駒:歩三 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・v飛v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v角 ・v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 角v歩 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 ・ 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 後手番 手数=47 ▲5六銀 まで
ソフト評価値的には互角だが、右玉側に楽しみが多い。矢倉側が苦労する展開になるだろう。
△8一飛の場合
さて、▲6五歩の局面だが、実は△同歩や△同桂以外の手も十分に考えられる。最善手はむしろ、その他の手かもしれない。
まずは、△8一飛。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・ ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v角v歩v歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 先手番 手数=42 △8一飛 まで
のちの▲7三角打が飛車あたりになるのを防いでいる。▲6四歩、△同銀は、狭かった角の行き場が増えているので、矢倉側も悪くない。局面は互角。
▲5六銀ならば、△6五桂、▲5五銀が考えられる進行だ。
△1五歩からの端攻めへの対応
そして、もう1つ。△1五歩と端攻めしてくることも考えられる。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v角v歩v歩 ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・v歩|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 先手番 手数=42 △1五歩 まで
▲同歩に対しては、△1八歩打が痛い。▲同香とすると、△3五歩が厳しい。
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v歩 ・v銀v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v角v歩 ・ ・ ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ 歩|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ 香|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 手数=46 △3五歩 まで
取れば当然ながら△1八角成でゲームセット。▲4五歩で対抗した局面は悪くはないが、好んで選ぶ順でもない。
▲2五桂、△2二銀、▲6四歩、△同銀、▲1五歩、△1八歩打、▲同香、△2四歩、▲6五歩打あたりが進行の一例。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・ ・v金v玉v金v銀 ・|二 | ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・|三 |v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩v歩 ・|四 | ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 歩|五 | 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・|六 | ・ 歩 桂 銀 歩 銀 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・ 香|八 | 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:角 歩二 先手番 手数=51 ▲6五歩 まで
この局面は複雑ながら右玉有利だ。なお、手順中、△2二銀ではなく、△2四銀とした場合は、▲5五角打が好手となるのでこちらも覚えておこう。
以上が△5四角打との戦い方法だ。
なお、同じ局面は、「とっておきの右玉」でも言及されている。形が少し違う5六歩型に対する△5四角打も触れられているので、参考にしてほしい。