2019年12月26日に行われた朝日杯将棋オープン戦二次予選で、後手番の村中秀史七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
村中秀史七段といえば、最近は将棋YouTuberとしてもお馴染み(【プロ棋士】むらチャンネル)
人狼も強く、「諸悪」という愛称(?)でも人気。将棋は居飛車党だ。
対する先手は阿久津主税八段。こちらも居飛車党。A級順位戦では苦戦するも、朝日杯将棋オープンの優勝経験があるトップ棋士である。
本局は角換わりから後手は右玉。先手は右玉破りの地下鉄飛車という戦型となった。
棋譜は以下からどうぞ
2019年12月26日 第13回朝日杯将棋オープン戦二次予選 阿久津主税八段 対 村中秀史七段
※要Flash
AbemaTVの中継もあり(ただし解説はありません)
【木・金は朝日杯】二次予選 阿久津八段-村中七段/木村王位-千葉七段/勝者同士
※以下、朝日杯将棋オープン戦事務局に許諾を頂き、局面図を利用しております。
右玉 vs 地下鉄飛車
序盤は角換わり腰掛け銀の同型模様。1日1回は見るのでは? と思うほどの流行の形だ。そこから後手は右玉へ、先手は矢倉へ入城する。
先手は▲6八金とするやや変わった手から地下鉄飛車に組み換え9筋を狙う。右玉対策の常套手段で、右玉党としては対策を考えておく必要がある形だ。
ちなみに2009年に発売された阿久津八段の「必ず役立つプロの常識」では、「右玉にはミレニアム囲いが有効」としている。本局では出現しなかったが。
村中七段の地下鉄飛車対策は8筋の歩交換をしつつの△8四飛。これで、いきなりの▲9五歩からの仕掛けは防いでいる。
後手、3筋から桂頭を狙う
66手目、後手は△3五歩と桂頭を狙う。先手は▲4七角と受けたがこれが緩手だったか。△3六歩、▲同角で後手は△3五歩。これも悪くなさそうだが、△3四銀と加勢した方がよかったようだ。検討では△8五歩という手も出たそうだがソフトの評価は低め。それなら本譜の方がよさそう。
本譜は△3五歩、▲4七角のあと、△5三玉! 右玉から5三の地点に玉を逃げるのはよくある作戦だ。
先手、継ぎ歩で玉頭を攻める
先手は75手目、▲5五歩、△同歩、▲5四歩と継ぎ歩で玉頭を攻める。
ここで△4二玉と逃げたが、強く△3六歩、▲同角、△5六歩というのが怖いがよさそうだった(下変化図)。
この局面は互角ながらわずかに後手寄り。
そして、89手目の局面。△4七角成と角金交換した手が悪手。ここで△2七角成なら互角だった。先手もかなり怖い形だが、銀冠が堅い。
以下、先手がリードを広げて勝利となった。
残念ながら右玉側の負けとなったが、地下鉄飛車自体にやられたわけではなく、右玉党にとっても参考になる棋譜だと思われる。
右玉NOWは今後も村中秀史七段を応援します!