2019年3月4日の女流王位戦挑戦者決定リーグで、清水市代女流六段が伊藤沙恵女流二段に対して先手右玉で勝利した。
清水女流六段といえば、女流界のレジェンド。女流界の永世称号であるクイーン称号を4つ持ち、「女羽生」と呼ばれたことも。
一方の伊藤女流二段は獲得タイトルこそないが、女流レーティングで2位の超強豪だ。
棋譜は以下からどうぞ。
2019-03-04 女流王位戦清水市代 女流六段 vs. 伊藤沙恵 女流二段 第30期女流王位戦挑戦者決定リーグ白組
清水女流六段、先手右玉を選択
先手の玉が右へ。比較的はやい段階での右玉表明となる。
5七銀型の堅い右玉へ。右玉党なら同じ局面を持ったことがある人は多いかもしれない。この時点での評価値は互角。
後手からの仕掛けにカウンター
先手が8筋の歩を交換したところで、後手は4五歩のカウンター。やや怖いが成立していそうだ。清水女流六段も研究しているところだろう。
同歩に同桂が当然ながら継続手。
桂馬を支えたくなるが、まずは2四歩を入れる。
角が6四に引いたところで8七歩打。これを怠ると、8六歩の垂らしがあって危険。4五銀は4六歩打で現時点では大丈夫。
後手の7三桂に対して、4六歩打。やはりここは受けておきたいところだ。
続いては後手が7五歩を突いたところ。自然に見えるが、先手にとってややチャンスだった。
以下は変化図
ここで先手は6六銀があったようだ。4五銀、同歩、4六歩が見えるがこれは大丈夫だろうか?
ソフトの読みだと3八銀と引いておいて、評価値+500以上のプラス。
7六歩の取り込みは7四歩打がある。
本譜は6六歩。この手も互角だ。
後手優勢になるが先手粘る
少し進んだ局面。右玉は左金を左辺の守備に使った特殊な格好。
7七歩の応対で少し局面を悪くしてしまったようだ。
8八金とかわしたのが悪手。素直に同桂なら互角だったが、評価値で-600以上のマイナスに。
この隙を後手の伊藤女流二段は見逃さず、3七角成。
同玉に6七銀打が厳しい一着。
少しし進んで3七金打を受けるために3八銀と引いた局面。先手は苦しい格好だが、ここから粘れるかどうかが右玉党として真価が問われるところだろう。
後手が5一銀打で受けたところに、4三銀成、同金、4一金打、同玉、4三馬としたところ。先手も迫っているが、後手の駒を渡すだけに怖い攻めだ。
局面は後手有利。後手としても攻めるか守るが難しいところだが……。
後手は4八金打の攻めを選択。要の銀を外されると先手は持たないので、厳しすぎる感じだが、これが悪手で形勢は先手に。
先手の馬が躍動して一気に勝勢へ
先手は3三馬として、3二銀打に5三桂打、5二玉、4四馬。
これが王手桂取りで、後手の桂馬を一気に2枚外してしまった。
後手としては、3二銀打のところで3八金としたほうがよかったようだ。
後手に粘られるものの最後は即詰み
ここから先手も決め手を逃し、後手に粘れるが最後は次の局面へ。
後手が6三銀と、と金を払ったところ。この局面は詰みがある。
本譜は次の手を見て後手が投了。
先手は安泰なので必至をかけてもよいが、棋力に自信のある人は詰みを読み切ってほしい(高段向け)。
初手は4四金。同銀と同玉は4三金打で詰むので3二玉と逃げる一手。
詰まさず勝ちを目指すなら、3三金! 2一玉、4三金とするのがよさそう。
以下局面図
これで後手は受けようがなく、攻めもない。
詰み筋を見たい人はこちらをどうぞ。35手詰めです(笑)
というわけで、先手右玉で清水女流六段が勝利した一局の紹介でした。
右玉NOWは今後も清水女流六段を応援します!