2019年3月25日に行われた棋聖戦予選で、後手の広瀬竜王が右玉を採用してくれた。
広瀬竜王はいわずと知れたトッププロ。振り飛車から居飛車への転生も華麗にこなした。
対する中村太地七段は王座経験のある実力者。将棋フォーカスでもお馴染み。
両者はともに早稲田大学出身で、早稲田OB対決でもある。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ。
2019-03-25 棋聖戦中村太地 七段 vs. 広瀬章人 竜王 第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント
同型腰掛け銀から広瀬竜王が右玉に
序盤は角換わり腰掛け銀の同型。プロ間でもかなり指されている流行型だ。
先手は入場、後手は飛車を4筋に回ってから右玉へ。
いわゆるオーソドックスな右玉ではなく、6三金型。いわゆるセカステ右玉とも呼ばれる形だ。
ソフトの評価値はわずかに先手よりの互角。後手としても十分といえるだろう。
右玉崩しの角打ちとその対策
少し進んで先手は4七角打。対右玉ではこの筋が急所になることが多く、右玉側としてもきちんと対策をしなければならない。
将来的には、7四歩の桂頭攻めと9二歩打の筋がある。
7五歩に対して、右玉は6五歩。これが基本的な対策方法で覚えておきたい。
7五歩を同歩と取ってしまうと、5五歩、同銀、7四歩で攻めが決まってしまう。
十字飛車を防ぐ
先手は2四歩。この手も油断はならない。同歩ととってしまうと危険だ。
具体的には、同飛に2三歩打とすると7四飛、同金、同角で投了級。
同飛に対して6四歩打としても、2三歩打とされて厳しい。
右玉に悪手が出て形成は先手に
少し進んで、先手が4五歩と突いた局面。
この場面はバランスが取れているようだ。評価値もわずかに右玉より。
さらに進んで先手はと金を作り、2九飛と引いた場面。ソフトによると、次の一手が悪手だったようだ。
4六歩の突き出し。次の4七歩成を見て厳しそうだたが、これが緩手だったようだ。
ソフトの推奨手は感想戦でもでていた3六角打など。
本譜は4七歩成が実現したものの、攻め合いで先手が速かった。
後手は6九馬とするが、最後の金を投入する7九金打が冷静。
最後は7四銀成で投了。先手玉は危険なようだが、8六銀と4八飛がよく利いていて詰みはない。
というわけで、右玉は負けてしまったが中盤まではよい勝負だったと思われる。
広瀬竜王は今後も右玉を指していってほしいところ。
というわけで、右玉NOWは、今後も広瀬竜王を応援します!