今回は右玉の棋書から「現代右玉のすべて」を紹介したい。
現時点で最新の右玉本(2018年5月18日発売)であり、これから右玉を指したい人には最適な一冊となる。
著者は若手強豪の青嶋未来五段。プロ棋戦でも右玉を採用している。
(青嶋先生の右玉を並べたい場合はこちらのカテゴリからどうぞ)
本書の特徴は全編を通して右玉は後手番であること。先手右玉は一切触れていない。盤面でいうと右玉側が上になるので、初心者にはやや難しいかも知れないが、実際に盤に並べればなんとかなるだろう。
(ちなみにマイナビの公式サイトから購入すると棋譜データがもらえます。自分はAmazonで買っちゃったけど)
本書の構成は、角交換型風車右玉、風車右玉、角交換型矢倉右玉、矢倉右玉の4章に加え、「右玉のセオリー」として、9つのテーマ図における考え方を紹介している。
すべてをマスターする必要はなく、例えば「角交換型矢倉右玉」だけを集中して勉強する、という使い方でも十分実用的だ。
また、最新の棋書だけあって、相手が都合の良い手を指してくるいわゆる「ココセ」はほとんどない。各局面も恐らくソフトによる検討を入れているはずで、実際は悪い局面だったというところもないので安心して学べるだろう。
というわけで、本書が触れている局面を紹介していきたい。購入前の参考や、購入後のインデックスとして役立ってもらえれば幸いだ。
第1章 角交換型風車右玉
第1節 駒組み
第一章は後手番の角交換型風車右玉。4二銀が少し変わった手。相手から角を交換させ、2二金を保留したまま駒組みを進める作戦だ。
第2節 先手の急戦策
上の局面から3六歩と突いた場合の対棒銀・対早繰り銀の対策、4六歩と突いた場合の対腰掛け銀の対策(第3節に進む)を紹介する。
第3節 腰掛け銀 ▲2八飛・5八金型
この節では2筋で歩交換をして2八飛と引く形を解説しており、いよいよ右玉の登場となる。
第4節 腰掛け銀 ▲2九飛・4八金型
こちらは2九飛と引く形の解説。現代将棋ではこちらの方が多いパターンだろう。
青嶋の結論
ここは棋書のキモの部分かと思うので割愛させていただきます(以下、同)。
第2章 風車右玉
第1節 駒組み
第2章は角交換をしない形の風車を解説している。こちらも後手番だ。
第2節 矢倉
第2節は先手が矢倉を組み、持久戦を狙ってきた場合。雁木にもできるが、当然右玉へ。
第3節 矢倉急戦
第3節では右玉が組み上がる前に3七銀と進み、速攻を狙ってくる場合の対策。
第4節 左美濃
最後は手数のかかる矢倉ではなく、左美濃にしてくる場合の対策。左美濃の咎め方、右四間にしてきた場合の対処法も解説している。
青嶋の結論
こちらは割愛します。
第3章 角交換型矢倉右玉
第1節 駒組み
第3章は角交換型矢倉右玉。右玉党の中でも人気の形。
第1節では、4五の桂跳ねへの対策を重点的に紹介している。
第2節 ▲4六歩型
第2節は先手が4六歩としてきた場合、図のように4五桂速攻の受け方、持久戦になった場合、相一段飛車、4七角の自陣角への対応など幅広く紹介されている。
第3節 ▲4五歩型
先手が4六歩と突き後手は7二玉、先手の狙いは4六角。この局面の変化をプロの実戦譜も含めて解説している。
青嶋の結論
省略。
第4章 角交換型風車右玉
第1節 駒組み
最後は矢倉右玉。先手が矢倉の場合のみの戦法となる。第1節では強襲への注意など。
第2節 △8一飛型
第2節は上の局面から8一飛と引く作戦。上の局面では5二飛とする作戦もあり、次の第3節で紹介されている。
第3節 △5二飛型
こちらは右玉に囲う前に飛車を攻めに参加させる独自の作戦。かなりページを割いて紹介されている。
第4節 対早囲い
最後は先手が早囲いを志向してきた場合。第2節、第3節とは違う展開になる。
青嶋の結論
省略。
第5章 右玉のセオリー
最後は9つのテーマに対して、右玉の考え方を紹介している。右玉党にはかなり参考になるだろう。
以上、「現代右玉のすべて」の紹介でした。