NHK杯で佐々木五段が右玉を採用して勝利!

セカステ右玉

2019年4月28日、テレビ棋戦であるNHK杯本戦で佐々木五段が右玉を採用してくれた。
残念ながらミギーは視聴を逃してしまったが、内容を紹介したい。

棋譜は以下からどうぞ
2019年04月28日 第69回NHK杯1回戦第4局

佐々木五段といえば、このところ後手右玉を数多く採用している右玉のホープ。右玉での勝率も高く、恐らく独自の研究があるのだろう。
対する畠山鎮七段は将棋界唯一の双子棋士。どちらかというと攻めの棋風だ。

腰掛け銀からの高度な手待ちから右玉へ

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v金 ・v玉v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=36  △5四銀  まで

序盤は相腰掛け銀。ここから後手は玉の位置を激しく動きつつ手待ちを続ける。後手ならではの作戦だ。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v金v歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
後手番
手数=55  △6二玉  まで

6三金、5四銀型の右玉へ。佐々木五段が得意としている形で、セカステ右玉とも呼ばれる。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・ ・v玉v金 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v銀v桂v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 銀 ・ ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=74  △6三銀  まで

さらに手が進み、一般的な形の右玉となる。
この局面のソフト評価は先手有利。しかし、局面を打開するのもなかなか難しそうだ。

玉頭を巡る戦い

後手の持駒:歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・ ・v金v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・v歩 ・v歩 歩 ・|五
| 歩 銀 ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ 桂v馬 ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 飛 ・ ・ 角 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩三 
後手番
手数=103  ▲7五歩  まで

手は進んで、上の局面。
ついに右玉の弱点である桂頭の前に7五歩が入った。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・ ・v金v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩 歩 ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩v歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 銀 ・ ・ 桂v馬 ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 飛 ・ ・ 角 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂 歩三 
手数=106  △3六歩  まで

8五歩、7七銀のあと、3六歩。7筋は放置する。
7五歩と取ってしまうと、7四歩打が入って攻めが加速してしまう。7三の桂は取られてしまっても仕方ない局面が右玉にはある。

後手の持駒:桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉v金 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ 歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩 桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩v歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・v馬 ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 飛 ・ ・ 角 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩四 
後手番
手数=111  ▲7五桂  まで

少し進んで先手が7五桂打。7三歩成を入れる前の銀取り。
先手は鉄壁、右玉の玉頭には火が付いており、局面は先手有利。
ただ、優勢までとはいかず、評価値は+400未満なので、まだまだ戦えそうだ。

右玉逆転からの鋭い寄せ

後手の持駒:飛 金 桂 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ 歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 銀 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 角 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩四 
後手番
手数=127  ▲7六銀  まで

さらに進んだ局面。7五桂打で7六銀と逃げたところ。
すでに右玉逆転模様だが、ここからの寄せが鋭かった。

後手の持駒:飛 金 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ 歩v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v歩v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩v桂 銀 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 角 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩四 
手数=128  △8六桂  まで

8六桂!
対矢倉の手筋ではあるが、この桂馬が強烈。
6八金と逃げると、4八飛打が角金取りで強烈。角を逃げると7八金打から寄る。

後手の持駒:飛 金 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩v歩 銀 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 角 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂二 歩四 
手数=132  ▲8六歩  まで

7三歩成、同金を入れてから8六歩と取るが、同歩と取り込まれて先手玉は一気に危険な状態に。

後手の持駒:金 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩v歩 銀 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・v飛 ・ 角 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂二 歩三 
手数=134  △5八飛  まで

先手は8二歩と打って飛車先を止めに行くが、手抜いて5八飛打。

後手の持駒:歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩v歩 銀 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・v金 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 桂v飛 ・ 角 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 桂 歩三 
手数=136  ▲8七金  まで

6八桂打とするが、ここで8七金打が厳しい。

後手の持駒:角 銀 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 ・ 桂 ・ ・v龍 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 金 銀 桂 歩四 
手数=140  △3八飛  まで

同銀、同歩成、同金に3八飛成と角を取るのが冷静な一手。

後手の持駒:角 銀 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 と ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 ・ 桂 ・ ・v龍 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 角 金 銀 桂 歩四 
後手番
手数=141  ▲8一と  まで

先手は8一歩成と飛車を取ってきたが、この局面で後手玉に詰みがあった。
17手詰みとやや長いが考えてみてほしい。

後手の持駒:角 銀 桂 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 と ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 ・v龍 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛 角 金 銀 桂 歩四 
手数=142  △6八龍  まで

正解は6八龍! とバッサリ切る手。

後手の持駒:角 金 銀 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 と ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛二 角 金 銀 桂二 歩四 
手数=146  △7五桂  まで

同銀、8七桂成、同玉に、7五桂打。

後手の持駒:角 金 歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 と ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v金v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v銀v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 玉 ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛二 角 金 銀 桂二 歩四 
手数=148  △8五銀  まで

8六玉に8五銀打が好手。この手を見て畠山鎮七段は投了。

後手の持駒:歩三 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 と ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・v金v歩v銀 ・ ・ ・v歩|四
| ・v角v桂 ・v歩v金 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 玉 歩 ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・v金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:飛二 角 金 銀二 桂二 歩四 
手数=154  △8五角  まで

以下は、同玉、7四金、8六玉、8七金打、7六玉、8五角打まで。
というわけで、佐々木五段が得意の右玉で勝利した一局でした。
右玉NOWは、今後も佐々木五段を応援します!

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