先日行われた第2回AbemaTVトーナメントで、佐々木大地五段が右玉を採用してくれた。
AbemaTVトーナメントは、持ち時間5分、1手指すごとに5秒増えるというフィッシャールールの超早指し戦。同一対局者で3連戦し、先に2勝したほうが勝ち上がるシステムだ。
佐々木大地五段といえば、プロ棋戦で右玉を多数採用している棋士。
対するのは中村太地七段。タイトル経験もある強豪だ。
初戦は中村太地七段が勝利し、佐々木大地五段にとっては後がない対局となる。
対局の模様はAbemaTVで視聴できます(2019年5月20日01:00まで無料)
第2回AbemaTVトーナメント 予選Bブロック<後編>
※対局は33:30ごろから
棋譜は以下からどうぞ
https://migigyoku.com/kifu/kf.php?kifu=20190519.kif
後手は手待ち作戦から右玉へ
序盤は角換わりの定跡型。先手が4筋の位を取り、4六角と打つ。
後手は玉を大移動させて右玉へ。
後手は金や玉を動かしつつ手待ち。一方の先手は穴熊まで固める。
先手作戦勝ちにもみえるが、評価値はほぼ互角だ。
後手、反撃含みの角打ち
局面は先手が3五歩と突いてきたところ。当然の攻め。次の後手の手が面白かった。
5三角打!
超短時間の将棋でこの手を指せるのは素晴らしい。異筋だが、ソフトの候補手でもある。
佐々木五段の研究手かもしれない。
3四歩、同銀、2四歩、同歩、同飛、2三金、2四歩打と進行。
後手、端攻めを敢行
少し進んで上図の局面。
後手は端攻め。自玉にも近くて怖いところだが、穴熊を崩すためには必須の手。ソフトの読みは3六歩の交換を入れてからということだが、タイミングは悪くなさそう。
ソフトの驚くべき読み
局面はさらに進み、後手が飛車をいじめてきたところ。飛車の逃げ場所が難しいところだが、ソフトはまったく別のことを考えていた(笑)
変化図
8二金打!
金を犠牲に飛車を成り込もうという手だが、これが成立するらしい。まさに穴熊の暴力!
同金、2一飛成は先手有利。というわけで、この金を取れないので6一飛と逃げるが、そこで先手も飛車を逃がすのが好手のようだ。
後手、流れに乗って要塞を築く
局面は後手が飛車を展開に成り込みを目指したところ。そこで、先手は5三歩打。
同玉とするが、そこで次の手が継続手。
2ニ歩打!
取ると3一角打が王手飛車取り。従ってこの歩は取れない。そこで、飛車を5一に逃げるが、この局面は後手がかなり堅くなっている。
歩を上手に使った穴熊崩し
上図の局面。後手は7五歩から攻める。
9ニ歩打、8五香打、9四香に9七歩打!
一気に先手は危険な状態へ。
同桂に9ニ香と歩を補充したところに9五角打、7六桂、同銀、同歩、7三角成に9六打。
馬を作らせたが、いよいよ先手陣に火がついた。
中村七段は9八玉と入玉含みで粘る。
局面は後手が飛車をぶつけて馬と交換し、8ニ飛打とされたが、7五角打と攻めの手を放ったところ。
ここからの後手の流れも素晴らしい。
8六桂打と先手も粘るが、7三銀と飛車に当てて、7六龍に8七銀と進出。
攻めながら後手陣はかなり安泰に。
最後は7六桂と打ったところで後手投了。
9八と玉を交わすては、9三歩打、同玉、8ニ銀、9六玉、9七飛打まで。
同金とすると詰みはないが、同桂、8七玉、7八桂成で受けがない(以下、変化図)。
変化図
というわけで、後手の佐々木五段の勝利。
これで1勝1敗となり、第3局では中村太地七段が勝利し、残念ながら佐々木五段は勝ち上がれなかったが、右玉NOWは佐々木五段を応援します!