右玉ファンにはお馴染み、佐々木大地五段がまたしても右玉を採用してくれました!
舞台は王将戦一次予選。勝てば藤井聡太七段と決勝を争うことになる。
佐々木大地五段は前日に24歳になったばかりの若手ホープ。おそらく、現在のプロ棋士の中で一番右玉の採用率が高い。
対するのは、千田翔太七段。将棋ソフトに深い造詣を持つ新世代の棋士だ。Twitter@chidanzaでもお馴染み。
この対局は角換わりではない右玉から、佐々木大地五段が飛車を見捨てて攻めるという奇策を用いたが……。
棋譜は以下からどうぞ
https://migigyoku.com/kifu/kf.php?kifu=20190531.kif
矢倉 vs 右玉へ
先手は矢倉志向。対する後手は2筋の歩交換を受けず6四歩。現代調な感じ。
先手も歩交換はせず駒組みを進めて、後手は右玉へ。
後手は6筋の位を取る。
後手から積極的な攻め
先手の銀が3五まで進出したところで、後手も7五歩から反撃。角筋が通っていることが前提の攻めだ。
同歩、7六歩、8八銀に6六歩と進行。
ここで先手が同歩とすると、8六歩から攻めが加速しそう。なので、先手は5八金。
ソフトの評価値は互角だが、わずかに先手がよい。
後手、飛車を見捨てる攻めを選択!
後手が8筋で歩交換を狙い、8七歩打。
飛車を8五に引くか、8一に引くか悩むところ、と思われたが……。
なんと、飛車を見捨てる6七歩成!
たしかに先手は壁銀だし、角筋も通って危険な格好。果たしてこの強手は通るのか?
右玉は飛車打ちに弱いが……。
先手は堂々と飛車を取る。
後手は5八と、と玉側ではない金を取ることを選択。これは当然、同飛。
8七歩打、同金と進行。先手もかなり怖い格好だ。が、やはり後手の駒不足は否めないだろうか。
後手は6五桂と狙われそうな桂馬を跳ねて迫るが、7四歩! が痛打。
千田七段の着実な攻め
6四歩打と角筋を止めるが、8一飛打がやはり強烈で、右玉の弱点を突いている。
先手は持駒が歩しかないが、ここからの先手の攻めが確実だった。
7四銀と歩を払うが、8二飛成と王手。歩の合駒はできず、5一玉は香を取られて王手なので、非常に怖いが玉は6三に逃げる。
ここで7五歩打がやはり厳しい。
同銀に7四歩の垂らしが強烈すぎる。仕方なく、虎の子の金を7二に投入して受け。9一龍と香を補充される。
後手も6六銀で勝負をするが、7五金が好手。
6七銀歩成で飛車金両取りがかかるが……
6五金!
と桂馬を食いちぎる手があった。この金を取ると7歩成(角成)から詰み。
この金を取れないのは厳しい。
後手は7一歩と受けるが、7三歩成、同金、7五香で投了となった。
角の場所次第では成立したかどうか?
というわけで、飛車捨ての強襲はうまくいかなかった。角が好位置過ぎたのもあるだろう。
それでは、角が5三など違う位置だとどうだろうか?
この局面なら8六歩と飛車を取るのは無理そう。しかし、同金右と取られて後手悪そうだ。
もしかしたら成立する局面が他にあるのかもしれないが、現時点ではわからない。
というわけで、意欲的な作戦だったが、千田七段に咎められて作戦は失敗に終わった。
藤井聡太七段と佐々木大地五段の対局が実現せず残念ではあるが、右玉NOWは今後も佐々木大地五段を応援します!