第29回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC29)は、白ビールこと「Kristallweizen」が準優勝となったが、その白ビールに決勝で唯一土をつけたelmoの端攻めが話題になった。
この一局は相右玉ということで、右玉党にも注目の一戦である。
棋譜は以下からどうぞ
決勝 5回戦 elmo – Kristallweizen
elmo、驚愕の端攻めを成立させる
今回のテーマとなる局面。ソフト同士の対決で相右玉!
人智を大きく超えるソフトがともに右玉を指すということは、右玉の優秀さを示しているといってもよいだろう。
なお、先手は特殊な3八金型となっている。
で、この局面からのelmoの次の手が驚くべきものだった。
9六歩!
人間でこの手を指せる人はいるのだろうか?
ちなみに水匠改は、しばらく読めば第一候補手として出てくる。
9六歩に対して、当然、後手は同歩。
先手は同香と香車を捨て、同香。ここで9七歩打とした。
9七歩に対しては、同香、同歩、同桂、9六歩打とするのかな、と思ったら違った。
その手順は8五桂と跳ねる手があるようだ(下変化図)。
変化図
この桂跳ねが好手で先手有利になる。同飛は8六香打、同桂は8六銀からこのように進行するらしい(水匠改を使用)。ここらへんが見えてないと9六歩は指せないのかもしれない。
白ビールも端攻め!
というわけで、本譜は1四歩!
まさかの白ビール側も端攻め。やはり右玉に対する筋なのだろう。3八金型なので端には強そうだが……。
お互いに桂頭を狙い、以降は長期戦に
その後を進行を見ると、お互いに桂頭へ香車を設置するという形に。
以降はお互いにギリギリの受けで粘って200手を超える長期戦にり、218手目に白ビールが投了。超絶技巧の応酬に決着が付いた。
相右玉の形はプロ棋戦でも出現することがあるので、公式戦でもこの端攻めが出現することがあるかもしれない。今後に注目したい。