2019年6月23日に放送された第2回AbemaTVトーナメント準決勝で糸谷哲郎八段が、右玉を採用してくれた。
糸谷哲郎八段といえば、早指しの名手として有名。対振り飛車の糸谷流右玉はもちろん、対居飛車の右玉も得意戦法のひとつだ。
対するのは、現在実力トップともいえる渡辺明二冠。レーティング的にも渡辺明二冠と豊島名人の2人が将棋界では抜きん出ているといってよいだろう。
AbemaTVトーナメントは、持ち時間5分、一手指すごとに5秒が追加されるフィシャールール採用の超早指し戦。三番勝負二勝した棋士が勝ち上がるシステムで、初戦は糸谷八段の勝利。紹介する本局は続く2回戦となる。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ
第2回AbemaTVトーナメント準決勝2回戦 渡辺明二冠 対 糸谷哲郎八段
動画の再生は以下から
第2回AbemaTVトーナメント準決勝 渡辺明二冠 対 糸谷哲郎八段
※6月29日まで無料で視聴できます。
糸谷八段、得意の一手損角代わり右玉を採用
糸谷八段は得意の一手損角代わり。
先手の早繰り銀に対して、右玉に構える。
右玉、桂跳ねの攻めを決断
先手が二度目の3五銀を指した局面で、右玉は6五桂を決断。
先手は8八に銀を引くか、6六銀か迷う所。2二の場合は、5七角打があるようだ(以下、変化図)。
変化図
角を放り込む強手。3八飛と銀取りを受けてまだ互角のようだが、右玉が指しやすそう。同金ははっきり右玉有利になる。
端攻めから右玉が攻め切る
少し進み、後手は二歩持ったところで、9五歩を敢行。
右玉側も怖いところだが、先手の玉形も薄いので成立している。
同歩に9七歩の垂らし。
同桂は9六歩があるので論外だが、同香も9八角打が厳しい。
ソフトは9六歩打、同香、8五角打を読んでおり、こちらも厳しい手順だ。
先手は8八玉と気合の受け。
同香に7八金と寄るが、6九角打が決断の一手。
9六歩打、同香に5九金と攻めを催促したが、これが悪手。
ただ、局面としては苦しいので仕方がないかもしれない。
9八歩成、同香、同香成、同玉、7八角成、同飛と進行し、9六金打で先手投了。
次の8七飛成が受けにくく、8四香打、同飛、9五角の筋も消している。
8六角打で粘れそうだが、投了もやむなしか。
というわけで、渡辺二冠の不出来もあったが、糸谷八段の短手数圧勝に終わった。
局後の糸谷八段のコメントによると研究とのこと。ということは、将来的にも公式戦で糸谷八段の一手損角代わり右玉は見られそうだ。
というわけで、右玉NOWは今後も糸谷八段を応援します!