神谷広志八段著「誰も言わなかった右玉の破り方」速報レビュー

右玉の本

右玉党が恐れていた神谷広志八段による世界初の右玉対策本「誰も言わなかった右玉の破り方」が本日発売になりました!

ミギーはAmazonで予約注文したけど発送されないのでキャンセルし、Kindleで購入し直しました。

各種変化に対するじっくりとした精査は追々行うとして、まずは速報版で簡単にレビューをしたいと思います。

「誰も言わなかった右玉の破り方」の目次

第1章 角交換右玉退治
 第1節 地下鉄飛車
 第2節 穴熊
 第3節 速攻
第2章 矢倉編
 第1節 ▲4七銀型
 第2節 ▲4六銀型
第3章 ノーマル右玉
 第1節 穴熊1強引に組む
 第2節 穴熊2超持久戦
 第3節 菊水矢倉
 第4節 菊水矢倉?
 第5節 菊水矢倉 対積極策
 第6節 急戦型
 第7節 超急戦型
第4章 振り飛車
 第1節 四間飛車
 第2節 中飛車
第5章
 次の一手

最先端の右玉への対策はなし

現在プロ棋戦で注目されている右玉は、セカステ右玉と7二金型だと勝手に思っているが、こちらへの言及はなし。角換わり腰掛け銀 vs 右玉については、第1章の2節穴熊で触れているのみだった。

セカステ右玉

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v金v歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
後手番
手数=55  △6二玉  まで

羽生流7二金型

後手の持駒:角 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金v玉 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩 
手数=34  △1四歩  まで

角交換しない右玉への対策に重点が置かれている

第2章、第3章については角交換しない右玉への対策。第2章が矢倉右玉で、第3章は風車右玉。第3章で「プロ棋戦の出現率では第1章、第2章よりもはるかに高い」と書かれているが、個人的には角交換系の右玉のほうが近年は多いと思うけど、どうだろう?

第4章は糸谷流右玉対策

第4章は予想通り糸谷流右玉対策。神谷八段は糸谷八段を「糸谷の哲ちゃん」と呼んでいる。
糸谷流右玉側が最善手ではなく、「厳密には無理なのだがプロレベルの話。アマ初段~四段くらいの方ではとても受けきれないと考え採用した。」という攻め筋が紹介されているが、これはちょっとアマを甘くみているかもしれない。

それと、木村美濃に組み替える対策や9七角覗きからの6筋殺到などの王道対策は紹介されていなかった。


171ページの図にミスが。角が消えている?

そのほか気になること

神谷八段の一人称は「オッサン」。軽妙な語り口は好き嫌いあると思うが読みやすい。
章間にあるコラムには数ページが割かれており、将棋に関係ない話もあるが面白い。とくに、藤井聡太七段が神谷八段の連勝記録を破ったときの話は良かった。

それと、冒頭に書かれているが、青嶋未来五段の「現代右玉のすべて」は読んでいないとのこと。これはちょっと驚き……。「現代右玉のすべて」に対するアンチテーゼなのかな? とも想像していたので。

また、第1章第1節だけは右玉が先手の話になっている。図は反転しており(後手番が下)、符号も初手3四歩からはじまる。これは、後手から一手損角換わりをした場合、とのことだがちょっとわかりにくいかもしれない。

現時点でのミギーの感想

すべての手を精査したわけではないが、現時点での感想は「右玉を根絶させるべく本気で対策を書いた」という本ではなさそう。どちらかというと、「右玉がこんなヌルイ手を指してきたら、こうしてやっつけよう!」くらいの感覚だろうか?
新進気鋭の若手が書いた最先端の棋書だと、同業の棋士も参考にするということだが、その手の本ではないという印象だ。

右玉党が読むべきか、という点で言えば十分に読む価値はあると思う。右玉が優勢になる(本書の立場で言えばなってしまう)変化も多数紹介されているので、相手の緩手を見逃しにくくなるだろう。

というわけで、簡単ですが速報版のレビューとさせていただきます。

マイナビのサイトからは棋譜ファイルがもらるようです
誰も言わなかった右玉の破り方