2019年7月26日に行われた棋王戦挑戦者決定トーナメントで、斎藤慎太郎王座が左玉を採用してくれたので紹介したい。左玉は右玉ではないが、右玉の親戚と言ってもよいだろう。
斎藤慎太郎は現在最年少(26歳)のタイトルホルダー。詰将棋を得意にしており、その凄まじさは、以下の動画をぜひみてほしい。
斎藤五段が解く難問詰将棋
対するのは佐藤康光九段。言わずとしれた羽生世代の超強豪で、現在の将棋会会長でもある。
というわけで棋譜は以下からどうぞ
2019-07-26 棋王戦斎藤慎太郎 王座 vs. 佐藤康光 九段 第45期棋王戦挑戦者決定トーナメント
後手、一手損角換わりから振り飛車へ
現在再ブレイク中の一手損角換わり。佐藤会長の得意戦法でもある。
後手は飛車を振って角交換振り飛車へ。
先手は7筋の位を取る。
先手斎藤王座、左玉で作戦勝ちへ
先手の作戦は左玉。振り飛車相手に右玉と近い感覚で戦えるのがポイント。この局面はすでに先手作戦勝ちで、ソフトの評価は先手有利(+400以上)だ。
仮に後手が2五歩と突いてきたら、2筋は放置し、6五歩から攻め勝つことができる。
先手、痛恨の悪手
先手は4五桂と跳ねて開戦する。
同桂、同歩に銀取りは放置して5四角打。
先手も6七角打で対抗する。
ここで4五銀が後手の好手。
4六桂が見えているが、この手で形勢はわずかに先手よりの互角。
次の一手が悪手だった。
6五歩。
一見すると悪くはなさそうだが、ソフトの評価値は先手よりの互角から後手優勢へ。
素直に4六桂打ならば先手優勢だった。
同歩、同銀に6六歩打! この手が入ったのが痛かった。
5八角と逃げるが、7六歩打、同角、6四桂打。
後手の厳しい手が続く。
9八角に7六歩打。先手陣は一気に崩壊してしまった。
後手の堅陣は残っているので厳しい。。
佐藤会長、快勝!
後手は粘るも、4五銀を見て投了。
どう受けても5六銀が厳しい。
仮に6八桂打でも、5六銀、同桂、同桂、同銀、6六歩打、5八玉、5六飛(変化図)。
変化図
これは先手収集つかない感じなので、投了も止む得ないだろう。
というわけで、斎藤王座の左玉は不発だったが、途中までは完全な作戦勝ちだった。今後も左玉を指してくれることに期待したい。もちろん右玉も。
右玉NOWは今後も斎藤王座を応援します!