2019年8月9日に行われた朝日杯オープン戦一次予選で、中村修九段が先手右玉を採用したので紹介したい。
中村九段は王将位の経験があるベテラン棋士。かつては「受ける青春」と呼ばれたことも。強豪ぞろいの55年組の1人。
対するのは宮田敦史七段。圧倒的な詰将棋の実力から「スーパーあつし君」の異名も。同日に行われた2回戦で本間アマに勝利し、当日2局目の対局となる。
本局は中村修九段が先手で雁木右玉を採用し、優勢を維持しながら押し切り快勝譜となった。
棋譜は以下からどうぞ
2019-08-09 朝日杯一次予選 中村修九段-宮田敦史七段
また、AbemaTVの中継の動画は以下から観られる
【独占!!木・金は朝日杯】宮田敦史七段-本間青磁アマ/中村修九段-第1局勝者
※解説者なし。視聴は一週間まで。
先手は少し珍しい雁木右玉へ
先手の作戦は雁木。
そして、雁木右玉へ。少し珍しい形だが、プロでもないわけではない。
後手、9四角打ちで打開を求める
後手は9四角打。狙いは7五歩、同歩、7六歩打の桂頭。この筋は防がなければいけない。
対策としては9六歩として、9五歩を間に合わせるか、5八角打で受けるかなど。
本譜は5八角打を選択。これは互角。
ソフトは9六歩と角頭を狙って先手やや有利と読んでいた。
桂交換のあと、先手は8九飛。右玉反撃筋の1つ。
後手の緩手で先手有利に
先手が8筋の歩を伸ばし、7五歩と突いた局面。次の後手の手は緩手だった。
6五歩の攻め合い。しかし、6三銀としっかり角頭を守ったほうがよかったようだ。
7四歩、6六歩、同銀、6五歩打、7七銀に6六桂でふんどしの桂が決まるが……。
放置して7三歩成がやはり厳しい。
7八桂成と後手は金を取るが、同銀、5六歩に7二とで、角を入手し飛車当たり。
先手も5七金打の打ち込みが怖いがまだ大丈夫だ。
先手、厳しく攻めて快勝!
先手勝勢のまま終盤の局面。次の先手を予想してほしい。
5二と!
タダ捨てのようだが、この手が好手。
同金は、2四桂打、同歩、2三角打、同玉、3一龍(以下変化図)
変化図
これは完全に寄り筋。
というわけで、後手は4一歩打と我慢。しかし、先手勝勢はかわらない。
4筋が壁になったところに2九飛と飛車回り。
5五銀に2四桂打で後手は投了となった。
同歩は、2三金打、同玉、2四歩、2二玉、2三歩成、3一玉、2二角打で詰み。
2二玉と3一玉なら詰みはないが、いずれも3二歩打から寄り筋だ。
というわけで、雁木右玉を採用した中村九段の勝利。本譜は快勝といってよいだろう。
右玉NOWは、今後も中村九段を応援します!