2019年9月12日に行われた順位戦B級1組で、畠山鎮七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
畠山鎮七段は双子棋士の1人。居飛車党で攻め将棋である。
対するのは斎藤慎太郎王座。斎藤王座は畠山鎮七段の弟子。つまり、師弟対決ということになる。
この対局は相掛かり模様から右玉という、珍しいが前例がないわけではないという流れになった。
棋譜は以下からどうぞ
2019-09-12 順位戦B級1組 斎藤慎太郎王座 vs 畠山鎮七段
序盤は相掛かり
序盤は相掛かり模様。
先手が銀を繰り出したところで△6一玉と戦場から遠ざかる。
先手の攻めを受け流す。
先手は▲2四歩で2筋をこじ開けに来る。
適当な受けはなさそうに見えるが……。
△同歩、▲2四銀に、△3一角。
▲2三銀成に△7二玉!
ここで右玉へ。2筋は崩壊しても戦場は遠い。
ソフト評価値は互角だ。
△同金は攻めが加速してしまうので注意。
▲3二成銀、△同銀に先手は▲4三歩打と垂らす。
▲2二金打とゴリゴリ行きたくなるが、それには△1五銀打が幸便。
後手は、△2五歩打、▲同飛、△1三桂、▲2四飛、△2三歩打で飛車先を止める。
飛車と金銀の交換に
先手は▲4四飛と4筋に飛車回り。次の▲4二歩成が厳しい。
ここは△6四角が好手。
▲4二歩成に対して、△5三銀打と受けることができた。
本譜は飛車を見捨てて、▲3二と、△4四銀、▲同角という展開。
飛車と金銀を交換したことになる。
形勢判断はかなり難しく見える局面だが、ソフトによると後手よりの互角。
先手、千日手を打開する
少し進んだ局面。▲2七金打と龍に当てたところ。
ここから、△1八龍、▲2八金、△1六龍、▲2七金、△1八龍、▲2八金、△1六龍と千日手模様の局面に。
ここで先手の斎藤王座は▲2七銀打! で打開。
単に▲2七銀だと龍を見捨てて4六香から先手はかなり危険そうだ。
この打開方法は成立していそう。
先手、チャンスを逃す?
さらに少し進んだ局面。▲4五金打と角取りに対し、△8六歩と一本入れてきたところ。
ここは先手にとってチャンスだったかもしれない。
変化図
8筋をて抜いて▲4六金!
以下、当然ながら△8七歩成。
これには▲7九金と引いて耐える。ソフトはこれで先手優勢と読んでいる。
本譜は自然に▲同歩。これは互角。
後手が勝負手で有利に
少し進んだ局面。龍はすでに詰んでいる状態。
△8六飛! の勝負手。
ここが運命の分かれ目だった。
龍を取るのは△8九飛成が入って論外。
自然に見える▲8七歩打は△7六飛。8筋に歩を垂らせないのも痛い。
というわけで、▲7九金としたがこの手で形勢は後手に揺れた。
ソフトの読みは、▲8八香打!
以下、△7六飛、▲7七金、△1六飛、▲同銀、△同龍、4三と、という読み。
これで互角とのことだ。
右玉、最後は攻め切って勝利!
以下、斎藤王座も粘るも以下の局面。
先手玉に詰みがある。
△3八龍を見て先手の斎藤王座は投了。
詰みの例はこちら。
師弟対決は師匠の畠山鎮七段の勝利となった。
また、畠山鎮七段はこの勝利で八段へ昇段となる。
右玉NOWは今後も畠山鎮八段を応援します!