2019年9月24日に行われた新人王戦で増田康宏六段が話題の7二金型右玉を採用してくれたので紹介したい。
増田六段は「矢倉は終わった」など、サービス精神旺盛な発言でも有名。「7二金型右玉は始まった」なのだろうか?
対するのはアマ超強豪の早咲誠和アマ。
本局は角換わりから先手が早繰り銀、後手は7二金型右玉へ。
先手は▲3五歩の仕掛けを保留して駒組みへ。一方の右玉も4三銀型に組み換え。
長い駒組みの末、後手は右玉を捨てて玉を左に引っ越しし、最終的には中住まい。一方の先手は銀冠。
お互いに仕掛けにくい局面が続くが、後手が機敏に仕掛け、リードを広げて快勝した。
7二金型右玉といえば、先手が積極的に仕掛ける展開の対局が多かったので、持久戦調になった本局は参考になるだろう。
棋譜は将棋連盟ライブ中継アプリから確認できる。
将棋連盟ライブ中継アプリ
また、しんぶん赤旗にて観戦記が10月11日~19日付で掲載予定だ。
7二金型右玉の課題局面に
戦型は角換わりから先手早繰り銀 vs 7二金型右玉へ。
ここで▲3五歩からの仕掛け気になるところだが、この形では成立しない。
具体的には、▲3五歩、△同歩、▲同銀、△1四歩、▲2四歩、▲同歩、▲同銀の時点で▲2七歩打がある(以下変化図)。
変化図
▲同飛は△4九角打、▲3八飛も△4九角打で、はやくも後手優勢。
7二金型右玉を指すなら知っておきたい変化だ。
後手、千日手模様から仕掛けて優勢に
本譜は先手が仕掛けず、お互いに固め合う展開に。
仕掛けどころがないまま先手は銀冠、後手は中住まいに変化。
後手の組み換え方も面白いので棋譜を見てほしい。
ソフトの評価は千日手。ソフト同士ならお互いの玉が左右運動をして千日手になりそうだ。
が、ここから増田六段は仕掛ける。
▲8五歩から桂交換して以下の局面。
△8三桂打の控えの桂が好手。局面は後手有利。
以下、▲7七金に構わず△7五桂と跳ねて細い攻めを成立させた増田六段の勝利となった。
局面図の使用許可について
しんぶん赤旗様から初の許可
日本将棋連盟が「棋譜利用に関するお願い」という声明を出してから、右玉NOWでは4局ほどお問い合わせをさせていただいた。
返信は新人王戦を主催するしんぶん赤旗様が初めて。
棋譜利用についてはしんぶん赤旗紙が掲載する10月11日から19日付が基本だが、部分的な局面図の解説はOKとのこと。というわけで、本エントリは仕掛けの部分のみ解説させていただいた。
しんぶん赤旗掲載以降は棋譜使用も可能という。
ほかの3局は返信待ち
現在、棋王戦の深浦-羽生戦(2019/9/17)、高見-稲葉戦(2019/9/20)、叡王戦の近藤-佐藤和戦(2019/9/20)も棋譜使用を依頼しているが、1週間以上経って返信なし。こちらについてもしばらく待ちたい。一部局面でも構わないので許可をいただければ幸いだ。
個人情報の扱いはちょっと気になる
棋譜使用の問い合わせは日本将棋連盟のフォームから氏名、電話番号、住所、メールアドレスなどの個人情報を入力して行ったが、返信は日本将棋連盟からではなく、主催社側だった。
個人情報についての取扱説明がなく、第三者(主催者ではあるが)への提供の許可を与えた記憶もないので気になるところ。
個人的には別に構わないが、きちんと明記しておかないと不快と思う人は出てくるはずだ。
まったくの第三者に提供されてしまったら困るけど。
というわけで、右玉NOWは増田六段、新人王戦、しんぶん赤旗を応援します!
しんぶん赤旗様には改めて感謝します!