2019年12月31日に行われたニコニコ生放送のイベント「将棋 永瀬中尉の大晦日共同訓練」で、永瀬拓矢二冠が右玉を指してくれたので紹介したい。
このイベントは、永瀬二冠と若手棋士(糸谷哲郎八段、佐々木勇気七段、高見泰地七段、千田翔太七段)がVS研究会をするというもの。
右玉が出現したのは、20分切れ負けの対糸谷哲郎八段戦。
糸谷八段も右玉を得意とする棋士だが、後手の永瀬二冠が右玉を持つことになった。
右玉側がかなりうまくいった一局で、右玉の手筋もたくさん出てくるので右玉党はぜひ並べてみてほしい。参考になるはずだ。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ
将棋 永瀬中尉の大晦日共同訓練 糸谷哲郎八段 vs 永瀬拓矢二冠
タイムシフト視聴は以下からどうぞ
将棋 永瀬中尉の大晦日共同訓練
※要ニコ生プレミアム会員
約11時間の長丁場なので、右玉の対局だけを観たい方は以下からどうぞ
【将棋】永瀬中尉の大晦日共同訓練#9:36:47
※要ニコ生プレミアム会員
後手は▲4六角打を見てから右玉へ
序盤は超高速に進行。△7二金は手損をしつつ相手の出方を見る作戦。
先手は▲4六角打。角換わりの有力な作戦の一つ。これを見て、後手は右玉を検討しはじめる。
先手は右玉へ玉を引っ越しする。
先手▲2四歩の仕掛けに後手反撃
先手は▲2四歩から仕掛ける。
△同歩、▲2四角。
この歩交換は無理があった。右玉側に好手がある。これは見逃さないようにしたい。
△2七歩打!
この手が厳しい。右玉党なら目が行きたいところ。
この歩は取れない。仮に▲同飛としてしまうと、△5五歩打が痛打になる。
変化図
▲同歩は△3八角打が飛車金両取り。
▲4二角成から暴れるのはさすがに無理だ。
というわけで、先手は6八飛と逃げたがすでに後手優勢だ。
ここからの作戦も参考になる。
△5五歩、▲同銀、△5四歩、▲4六銀、△2九角打!
4七にいる金のヒモを外してから△2九角打。
金を逃げるしかないが、どこに逃げても厳しい。
▲5六金や▲3六金で上に逃げると△4七角成。
本譜は▲4八金としたが、△2八歩成と、と金ができた。
永瀬二冠の華麗な寄せ
少し進んだ局面。次の一手は対矢倉の手筋。
△8六桂打!
この桂は取ると攻めが加速してしまうので取りにくい。
少し進んで▲5七桂打は、さすが糸谷八段という一手。馬筋を防ぎつつ、6筋を狙っている。
△5六馬に▲6七香打。
意外と寄せるのは難しいかな? と見ていたら予想外の一手が。
△5五金打!
▲6六の銀にどいてもらうのが重要ということだ。
▲同銀に、△同歩ではなく△5七桂成!
▲同金、△同馬と進んで以下図。
勝勢だが、糸谷八段は怪しい一手を放つ。
▲8四桂打!
△同馬と取れるところだが、馬が引けば先手玉の驚異が減るということか。
永瀬二冠は△8三玉と交わす。
先手は▲6六銀として、取られそうな銀を引いて馬に当てたが、先手玉には詰みがあった。ぜひ、読み切ってほしい。
正解は△8六桂打。
以下、▲同歩とするしかないが、△8七銀(金)打と捨てて詰む。
というわけで、永瀬二冠の勝利。右玉の快勝譜と言っても良いだろう。
右玉NOWは今後も永瀬拓矢二冠を応援します!