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糸谷哲郎八段、朝日杯将棋オープンで一手損角換わり右玉!

プロの右玉

2020年1月20日に行われた朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメントで、後手番の糸谷哲郎八段が右玉を採用してくれたので紹介したい。

糸谷八段は関西の強豪棋士。竜王の経験があり、一手損角換わりを得意とする。対振り飛車の糸谷流右玉や、ネット番組でのDJダニーとしても有名だ。

対する先手番は永瀬拓矢二冠。渡辺明三冠、豊島将之竜王・名人と並ぶ現役最強の棋士だ。

本譜は後手番一手損角換わりから先手は早繰り銀、後手が右玉という展開となった。

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独占!第13回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント ベスト4が出揃う!
※解説なし。有料会員以外は期限切れ。

※以下、朝日杯将棋オープン戦事務局に許諾を頂き、局面図を利用しております。

一手損角換わりから7二金型ではない5二金型右玉へ

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・v馬 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=6  △8八角成(22) まで

糸谷八段の作戦は一手損角換わり。対する先手は常套手段である早繰り銀。

後手の持駒:角 銀 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩v歩v桂v銀v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・ ・ 飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩二 
後手番
手数=29  ▲2四飛(28) まで

先手は7二金型右玉対策にもなる8八銀・6八銀型のまま攻める作戦もあったと思うが、▲7八玉を選択。8八銀型のまま右銀を繰り出して銀交換となった。後手は7二金型は選ばず、一般的な5二金型。銀交換後のソフト評価値は互角だ。

47手目▲3八飛の局面は難解

後手の持駒:角 銀 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|四
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩二 
後手番
手数=47  ▲3八飛(28) まで

47手目、先手は▲3八飛としたが、この局面が本局最大のポイントとなった。
ソフト評価値は少し読んだ程度なら後手よりの互角と出るが、深く読んでみたり局面を進めてみるとそう簡単ではないようだ。

ソフトの読みは、△5四角打や△6五角打で角で3二の金にヒモをつける手。
ちなみに△5四角打の読みは千日手。

△6五角打は飛車取りでもあるので、▲5六歩、△4九銀打(以下、変化図。モバイル中継だと△5九銀となっているが恐らくミス)。このコースなら互角以上の可能性は高い。また、△3三歩打で収めるのも一局と思われる。

変化図

後手の持駒:歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|四
| 歩 ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・v銀 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩二 
手数=50  △4九銀打 まで
後手の持駒:角 銀 歩二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・v金v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v銀v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|四
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 玉 金 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 銀 歩二 
手数=48  △4二金(52) まで

本譜は△4二金左。これも悪くなさそうだが、次の▲2二歩打が再び難解な局面。
△4九銀打には飛車が逃げてくれれば良いが、▲3二飛成の強襲があるようだ。
本譜の△3三桂はソフトに深く読ますと最善手となるが、最善手で進めていっても先手寄りになっていく。

永瀬二冠、正確な指し回し

有利になってからの永瀬二冠の指し回しは素晴らしい。ほとんどがソフト最善手と一致し、糸谷八段にスキを与えなかった。早指し棋戦でのこの正確さは驚異というほかない。

というわけで、本譜は永瀬二冠の勝利となってしまったが、一手損角換わり右玉には十分可能性はあるとおもう。

右玉NOWは今後も糸谷哲郎八段を応援します!

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