2020年3月13-14日に行なわれた王将戦第6局にて、後手番の渡辺王将が右玉を採用してくれたので紹介したい。
渡辺王将は現在三冠(棋王・王将・棋聖)を保持する説明不要の最強棋士。右玉に関しては、2月16日の棋王戦で採用したほか、1月16日放送のNHK杯トーナメント、昨年8月20日放送の銀河戦などで採用している。
対する先手は広瀬章人八段。こちらも王位と竜王のタイトルを持つトップ棋士。今回の王将戦はすでに3勝し、本局に勝利するばタイトル奪取となる。
本局は後がない渡辺王将が右玉を採用。見どころは終盤だが、右玉NOWでは序盤を中心に紹介したい。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ
王将戦 – 毎日新聞
※2020/3/17追記 毎日新聞社様より局面図使用の許可を頂きました。
後手、ストレートに右玉へ
本局は角換わりスタート。先手は1筋の歩を伸ばし、後手は△6五桂の筋を見せつつ、右玉へ。先手に1筋を詰められた、ということも右玉にした理由として大きく影響しているだろう。
飛車先の歩交換は素直に△2三歩打
後手は、△6五歩と6筋の位を取り、△6四銀~△6三金と進出して上部を厚くする。さらに、△4四銀として、左銀を玉側に寄せる構想に。
△4四銀の瞬間、先手は▲2四歩から2筋の歩交換。△同歩、▲同飛の局面は右玉党にとって分岐点の1つ。
本譜はすぐに△2三歩打で収めたが、手筋の△3五歩はあったのだろうか?
変化例は、△3五歩、▲同歩、△5九角打、▲4七金、△3六歩打、▲同金、△4八角成(下図)。
変化図
この変化はぜひ見てみたかった。ちなみにソフトの読み筋だと千日手となる。
後手、積極的な△5五銀だが……
52手目、後手は△5五銀とぶつける。右玉側としては指したい手だが、やや無理があったかもしれない。▲同銀、△同銀、▲4五桂の局面は先手がかなり良さそう。この時点では右玉側の作戦負けだろう。変えて、△3三桂から力を貯める展開や、△5三銀左と固める手などがあったようだ。
渡辺王将、驚異の逆転勝利
先手優勢のまま突入した2日目だが、77手目▲5六桂打あたりから逆転模様に。以降の渡辺王将の指し回しの完璧さは素晴らしいとしか言いようがない。
とくに、86手目△3三金打はすごい(上図)。以下、自玉の詰めろがかからないように、先手に詰めろをかけ続け勝利となった。
というわけで、右玉NOWは今後も渡辺王将を応援します!