2020年4月18日にAbemaTVで放送された第3回AbemaTVトーナメントで本田奎五段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
本田奎五段はプロ1年目ながら棋王戦挑戦を果たしたホープ。棋王戦では右玉を採用している。純粋な居飛車党で得意戦法は相掛かり。
対するのは豊島将之竜王名人。渡辺明三冠と並ぶ現将棋界のトッププレイヤーだ。
本局はフィッシャールール(持ち時間5分切れ負け、一手指すごとに+5秒)採用の超早指し戦。3局指して先に2勝したほうが勝利となるルールの1局目となる。
視聴は以下のリンクからどうぞ。
豊島チーム背水の陣!予選Aリーグ 第二試合<チーム豊島 VS チーム三浦>
※開始は2:50:10ごろ。無料ユーザーは期限切れ。ABEMAプレミアムのみ視聴が可能です。
将棋連盟主催の棋戦ではないため、必要最小限の局面図のみ掲載させていただきます。AbemaTV関係者の方、問題ありましたらご連絡お願いします。
右玉の手筋、飛車先歩交換後の△3五歩
序盤は超早指し棋戦らしく、スピーディーに進み、角換わりから後手の本田五段が右玉にして△4四銀と出る。豊島竜王名人は少考して、▲2四歩から飛車先の歩を交換。
このタイミングで右玉の手筋、△3五歩!
右玉党なら必ず覚えておきたい手筋で本局は教科書のような流れになる。
以下、▲同歩、△5九角打! ▲4七金、△3六歩、▲同金、△4八角成と馬を作れる(以下図)。
後手は歩切れにはなるが、まずまずの局面と言えるだろう。
終盤、右玉攻めきれるか?
73手目、先手は▲6九歩打としっかり支えた局面(以下図)。
先手からは▲3二歩成が確実で速い攻めなので右玉はゆっくりとはできない。しかし、駒不足。本田五段はここで最後の長考。そして……
手筋の△8六桂打を敢行! 先手は▲8八玉で耐える。次の手は……。
勝負手△9八桂成! この手は局面によってはソフトも読みに出てくる候補だったが、やや無理があったか。ただ、この手筋が成立することもある(飛車が成り込んだあとに香車を取れる)ので、右玉党は頭の隅には入れておきたい。
ソフトの候補は、△9八桂成に変えてじっと△5六歩。
▲同歩なら△5七銀打で先手指せそう。
▲同銀なら△同馬で後手勝ち。
▲3二歩成で難解そうだが見てみたかった局面だ。
本譜は、手堅く受けて華麗に攻めた豊島竜王名人の勝利となったが、右玉側としても興味深い一局だった。
ネタバレになるので残りの対局の結果は避けるが、ぜひ番組を見てほしい。
というわけで、右玉NOWは今後も本田奎五段を応援します!