2020年5月9日に放映された第3回AbemaTVトーナメント予選Bリーグ第二試合で右玉が2局も採用されたので紹介したい。
第3回AbemaTVトーナメントは3人1組のチーム戦。3局指して2勝したほうが勝利のシステムで、フィッシャールールの超早指し戦である。
予選Bリーグ第二試合は、渡辺明三冠率いるチーム所司一門(近藤誠也七段、石井健太郎五段)と佐藤天彦九段率いるチームまったり(斎藤慎太郎八段、阿部光瑠六段)の対戦。
先鋒戦の2局目で阿部光瑠六段が、中堅戦の3局目で石井健太郎五段がそれぞれ右玉を採用してくれた。
動画は以下からどうぞ。
ついに最強の渡辺三冠登場! 予選Bリーグ 第二試合<チーム渡辺 対 チーム天彦>
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将棋連盟主催の棋戦ではないため、必要最小限の局面図のみ掲載させていただきます。AbemaTV関係者の方、問題ありましたらご連絡お願いします。
先鋒戦第2局 近藤誠也七段 vs 阿部光瑠六段
まずは近藤誠也七段 vs 阿部光瑠六段。
動画では46:53ごろから。
この将棋は角換わり右玉 vs 中住まいとなった。
角換わりから先手が1筋の歩を突き越したのを見て、後手は右玉へ。先手は中住まいにして対抗する。対右玉の有力作戦だ。
一歩を手にした右玉が△5四角打! 対中住まいでよくある作戦だ。桂頭を狙っているほか、8筋の突破、9筋への成り込みなどを狙っている。
ソフト的な敗着は54手目の△7五歩。変えて△4五歩なら互角だったようだ。
最終盤、3手詰めが発生したが、近藤誠也七段まさかの見逃し。フィッシャールールの恐ろしさのひとつ。
※念の為、正解はこちら。
ただ、詰めろをかけていけばよい局面なので、先手勝勢は変わりなかった。
中堅戦第3局 斎藤慎太郎八段 vs 石井健太郎五段
続いては斎藤慎太郎八段 vs 石井健太郎五段。
動画は2:12:24ごろから。
この将棋は角換わりから後手が右玉で待機作。先手は穴熊へ。
右玉が攻めを誘い、先手が乗る形で開戦した。
序盤はオーソドックスな形。右玉側は△5四歩や△4四歩、△4四銀などをギリギリまで保留している。
後手の右玉はユニークな形で、▲5五歩を誘う。先手は、最初の▲5五歩の誘いは自重したが、このタイミングで▲5五歩とした。
右玉側の狙いは歩交換後の△3五歩!
▲同歩は△3六歩打があるし、▲同飛は飛車が狭く捕まる可能性が高い。したがって先手は▲4七角打で受けた。
49手目に飛車切り!
穴熊の暴力炸裂だが、さすがにこれは後手がよいか。
渡辺明三冠は
「こんなんで大変なら右玉もやってらんないですよね」
と言っていたが、ソフトの評価は右玉優勢となる。ただし、受け切るのは用意ではない。
先手の攻めは細いが一つ間違えばあっという間に奈落の底に落ちてしまう。
ここからの石井五段の受けは動画を見て参考にしてほしい。
というわけで、AbemaTVトーナメントで出現した右玉でした。
右玉NOWは今後も阿部光瑠六段と石井健太郎五段を応援します!