2020年6月6日に放映された第3回AbemaTVトーナメント予選Cリーグ第三試合で右玉が登場したので紹介したい。
第3回AbemaTVトーナメントはネットのAbemaTVで放送されている3人1組のチーム戦。
3局指して2勝したほうが勝利のシステムで、フィッシャールールの超早指し戦である。
今週はCリーグの最終戦。
第2戦はチーム佐藤の佐藤康光会長とチーム木村の野月浩貴八段の対局。
チーム木村はあと1敗で予選敗退という崖っぷちの状況。初戦は野月八段が勝利したが、いまだ負ければ敗退という状態で本局を迎えた。
野月浩貴八段は木村王位、行方八段と同い年の棋士。居飛車党で相掛かりを得意にしている。タイトルこそ縁がないが、順位戦はB級1組の経験がある強豪だ。Twitterも人気が高い。
対する佐藤康光会長はタイトル13期を誇る説明不要の大棋士。独創的な序盤が人気のオールラウンダーだ。
動画は以下からどうぞ
ベテラン勢大集合の最終試合! 予選Cリーグ 第三試合<チーム康光 VS チーム木村>
※1:27:15頃から。無料ユーザーは視聴期限があります。
※ABEMAプレミアムならコメント付きで視聴可能です。
将棋連盟主催の棋戦ではないため、一部局面図のみ掲載させていただきます。AbemaTV関係者の方、問題ありましたらご連絡お願いします。
先手は片矢倉、後手は銀多伝右玉の形に
序盤は先手が矢倉模様、後手は振り飛車にもなりそうな駒組みから右玉へ。
先手は早繰り銀から▲3五歩から積極的に仕掛ける。
ここで後手が指してはいけない手は△同歩で、先手の攻めが加速してしまう。
少し進んだ局面。先手は銀交換に成功したが、玉形は不安定。形成は互角だ。
50手目の局面。▲3七角に対して△6四銀打と投入。これは大事な手で、ここで節約してしまうと圧倒いう間に玉頭から殺到されてしまう。右玉的にも銀が縦に並ぶ銀多伝は理想形だ。
54手目に△8一飛として右玉の理想形が完成。先手は片矢倉。形成は互角。
終盤の激しい攻防
だいぶ飛ばして終盤。本局は▲同銀成としたため泥沼となったが決め手があった(以下、変化図1)。
変化図1
▲7五桂打!
詰めろなので取るしかないが、
△同銀でも△同金でも、▲同歩が詰めろで勝勢だ。
△同銀、▲同歩、△同金は、▲6四桂打からで勝勢(以下、変化図2)。
後手、最後のチャンス
149手目、▲7八飛打は好手。しかし、対応によっては後手勝ち筋があったかもしれない。本譜は△7八金としたが、自然に見えて悪手。なんと23手詰みが発生してしまう。
時間がほとんどない中、詰ましあげた会長は見事としか言う他ない。ぜひ、動画で見てほしい。
変えて、△7七銀打なら後手有利だったかもしれない(以下、変化図3)。
変化図3
▲8六金打や8六桂打があるだけに、かなり指しにくい手だ。
しかし、いずれでも後手優勢以上になりそう。かなり難解なので短時間では指せないだろう。
というわけで、本譜は佐藤会長の勝利に終わったが、序盤は右玉の勉強になるし、終盤は大熱戦で見応えのある一局だった。
右玉NOWは今後も野月浩貴八段を応援します!