羽生竜王の永遠のライバルと言えば、森内俊之十八世名人資格保持者。
遅咲きではあるが、羽生よりも先に永世名人の資格を有した超一流棋士の一人である。
そんな森内の特徴は、「鉄板流」と呼ばれる強烈な受け技術。
そんな鉄板流が炸裂したのが、2004年の王座戦挑戦者決定戦の渡辺明戦だ。
2004-08-03 王座戦渡辺明 vs. 森内俊之 王座戦
風車右玉に対して、渡辺は右玉キラーとも呼べる菊水矢倉で対抗。
菊水矢倉 vs 風車右玉
菊水矢倉と右玉の戦い。一般的には右玉不利という局面だが、この時点では評価的にまったくの互角。
渡辺の巧妙な攻めに形を大きく乱されたところで、7四銀打! と補強。ソフト的も一致した読み。
このような補強ができるかどうかも、粘り強い右玉が指せるかどうかの分水嶺となるのだろう。なかなか難しいが。
5二金打と張り付かれて嫌なところだが、ここで6六桂打と反撃。
飛車取りを放置して7七桂打と寄せに出る。
次の6二金が見える中、自玉の安全を見切って飛車切り。その後は寄せ切って勝利。見事菊水矢倉を攻略した。
鉄板流らしい早めの補強が好手となった一局。
悪手らしい悪手はなく、攻守の切り替えタイミングも絶妙で、右玉党にとって参考になる部分も多いだろう。