2020年8月12日に行われた朝日杯戦オープン一次予選にて、折田翔吾四段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
折田四段は「アゲアゲ」という名前のYouTuberと活躍し、棋士編入試験を経てプロ入り。そして、同日、2020年8月12日に行われた増田裕司戦でプロ初勝利をあげた。居飛車党だが、本日の2局はいずれも四間飛車の出だしから右玉風に変化するという将棋となった。
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対する後手は長沼洋七段。ベテラン棋士で「駒取り坊主」の異名を持つ。Twitterアカウントもkomato@ribouzu。棋風はオールラウンダーだ。
本譜は初手▲6六歩から始まる変則的な出だしから、耀龍四間飛車を経て右玉になるという将棋に。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
折田四段、耀龍四間飛車から右玉へ
先手の折田四段は初手▲6六歩というパックマン的な出だしから四間飛車へ。
美濃囲いではなく、エルモ大隅囲い。かなり変則的な序盤となった。
追記 この作戦は大橋貴洸考案で
耀龍四間飛車(ようりゅうしけんびしゃ)という名前が付いているんですね……。失礼しました。耀龍四間飛車の棋書を購入しましたので、今後レビューしたいと思います。
さらに4七金・4八銀という通常とは金銀が逆の右玉へ。
四間飛車から右玉へ変化する構想自体はそれほど珍しくなく(プロ棋戦では珍しいが)、将棋ソフトも度々見せているものだ。
先手、苦しい時間が続くが……
先手は苦心の手作りが続くが、112手目の△6八銀がソフトによると緩手。かなり厳しい手に見えるが、△5三角と当たりとなっている角を逃げていたほうが良かったようだ。
115手目▲5五角打は詰めろ飛車取りという気持ちの良い手。
しかし、△6一飛が詰めろを受けなら飛車を逃げる好手だった。
先手、逆転の筋があったかもしれない
122手目の局面は先手最後のチャンスだったようだ。
▲4二馬! が幻の好手(変化図1)。
変化図1
△同玉に▲2四角と飛び出し、△3三金打、▲2二飛打、△5三玉、▲3三角成で先手勝勢(変化図2)。2筋に飛車が利いている。
変化図2
本譜は▲6六金で香車を外してから寄せに出たが、後手の長沼七段が正確に指して勝ちとなった。
というわけで、今回は負けとなったがユニークな序盤戦術は観ていて楽しい。
右玉NOWは今後もアゲアゲさんこと折田翔吾四段を応援します!