記憶に新しい2018年の棋王戦。
渡辺明棋王に対する挑戦者は若手の雄・永瀬七段。
2勝2敗のフルセットで迎えた最終局、渡辺棋王が選んだ作戦は右玉だった。
棋譜は以下からどうぞ
2018年3月30日 第43期棋王戦五番勝負 第5局
右玉の態度はギリギリまだ見せず
あとで右玉になると思いにくい出だし。プロの右玉は、一直線に右玉にするのではなく、結果的に右玉になった、というケースが多い。
角交換型・風車右玉の完成。この時点で、ソフト的な評価値は右玉わずかにリード。
7筋への垂らしは、歩を2枚持ったときによくある手筋。
放置すると、7三歩成、同桂馬、7四歩打がある。
嫌味な端攻め。同歩だと、却って攻めのスピードがアップしてしまうこともある。
お互い妥協のない攻め合い。さすがにここは同銀で手を戻した。
最後は、飛車打ちのスペースを作る1二歩打で先手投了。
最終的に玉が8八まで移動しているなど、右玉ならではの玉の浮遊感も体感してほしい。
この一局で渡辺棋王は、棋王防衛。
右玉が鍵を握った貴重な一局だった。