右玉から銀冠への組み換え! 畠山成幸八段の指し回し

プロの右玉

右玉の対抗策として有力なのが、菊水矢倉、ミレニアム囲い、そして銀冠。
とくにミレニアム囲いからの銀冠は、阿久津主税八段が、右玉の対抗策として「必ず役立つプロの常識」でも触れている。

そんな阿久津主税八段に右玉で対抗したのが、畠山成幸八段。
少し古めの2011年の銀河戦の一局だ。
2011-06-02 銀河戦阿久津主税 vs. 畠山成幸 銀河戦

並べてみてもらえればわかるが、右玉作戦負けから、銀冠へ組み換えというユニークな一局となっている。

菊水矢倉 vs 右玉

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 桂 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 金 角 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
後手番
手数=35  ▲7八銀  まで

右玉に対して、先手の阿久津は対右玉のセオリー菊水矢倉へ。はやくも作戦勝ちの様相。
ソフトの評価値はすでに先手300近い。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v玉v金 ・v角v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 銀 桂 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ ・ ・|八
| 香 玉 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
後手番
手数=47  ▲8七銀  まで

お互いに仕掛けにくい局面から、先手は銀冠を志向。
ここから右玉は思い切って、銀冠を目指すことになる。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・v玉 ・v金 ・v角v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 銀 桂 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 角 ・ 銀 ・ ・ ・|八
| 香 玉 ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=48  ▲8二玉  まで

8二玉。しばらく不安定な状態が続くので、相手の仕掛けには注意しなければならない。

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v角v金 ・ ・|二
| ・v銀v桂 ・ ・v銀v桂v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六
| ・ 銀 桂 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=56  △7二金  まで

銀冠への組み換え成功! よく見れば、向かい飛車となっている。
ただし、この時点でもソフト的な評価は居飛車やや良し。

後手の持駒:桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v銀v角 ・ 歩v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v桂v金 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
手数=80  △4二飛  まで

進んでこの局面。阿久津八段に悪手が出る。

後手の持駒:桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v銀v角 ・ 歩v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v桂v金 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 桂 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 
後手番
手数=81  ▲2九飛  まで

なにか錯覚があっただろうか? 2筋の攻めを優先した?
いずれにしても、ソフト的には1000点近くマイナスとなる悪手。
素直に4五歩と桂馬を取っていれば互角だった。

後手の持駒:角 桂二 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金v飛 ・ と ・ ・ ・|二
| ・v銀 ・v銀 ・ と ・ ・ ・|三
|v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 金 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 銀 ・v馬 ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂二 歩三 
後手番
手数=109  ▲6七金  まで

さらに進んでこの局面。ここからの畠山八段の攻めは素人には予測しづらいものに。

後手の持駒:角 桂 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金v飛 ・ と ・ ・ ・|二
| ・v銀 ・v銀 ・ と ・ ・ ・|三
|v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
|v桂 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 金 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 銀 ・v馬 ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂二 歩三 
手数=110  △9五桂  まで

9五桂! と歩頭への桂馬打ち。
まあ、あり得ない手ではない。
が、次がすごい。

後手の持駒:角 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金v飛 ・ と ・ ・ ・|二
| ・v銀 ・v銀 ・ と ・ ・ ・|三
| ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
|v桂 歩 歩 金 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| 歩 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 銀 ・v馬 ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:桂三 歩二 
手数=114  △9六桂  まで

同歩、9七歩打に、9六桂打!
なんと、再度の歩頭への桂馬。
リアルタイムで見ていたわけじゃないが、テレビ棋戦だけに盛り上がっていただろう。

この後は、畠山八段が華麗に寄せ切り勝利。

というわけで、右玉から銀冠へ組み換えというユニークな一局でした。