2021年3月5日に行われた順位戦C級2組の対局で、先手番の伊藤慎吾五段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
伊藤慎吾五段は「イトシンTV」で将棋YouTubeとしてもお馴染み。YouTubeで右玉を指すこともあるほか、昨年発売された棋書「よくわかる雁木」でも、雁木右玉が触れられている。
対する後手は村中秀史七段。こちらも「【プロ棋士】むらチャンネル」としてYouTubeを開設しており、プロ棋士YouTuber同士の対局となる。また、人狼のニックネーム「諸悪」としても有名だ。
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先手右玉 vs 中住まい
序盤は手損のない角換わりから、先手が1筋の位、後手が9筋の位を取り、後手が中住まい、先手は右玉へ。プロの将棋で先手右玉はやや珍しいが、ソフトも採用することがあるし、有力だ。
後手は右玉崩しの地下鉄飛車を狙う組み立て。先手はまともに食らってはいけない。
右玉崩壊も広さが生きる
本譜は地下鉄飛車にはならなかったが、中盤は先手がスカスカの形に。しかし、囲いが崩壊してからの広さが右玉の特徴。評価値も1000点を超える右玉良しとなった。ただし、少し間違えると寄ってしまうこともあるので、怖いところ。
伊藤五段、寄せ切る
終盤はソフト的には大差となったが、実戦的には寄せ切る必要があり、緊迫とした場面。最後は長手数の詰みを読み切って先手右玉の勝利となった。
イトシンTVでの感想
伊藤慎吾五段は対局の翌日、「【応援ありがとう】順位戦終了!感謝の雑談ライブ!」を行ったが、この中で本譜についても触れている(リンクは本譜部分)
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最終戦は角換わりの将棋で、ちょっと珍しい形だったんですよね。お互いが1筋の位と9筋の位を取る形で、こちらが右玉で、村さんが矢倉みたいな形かな。
地下鉄飛車を狙ってくるような将棋だったんですけど、中盤ちょっぴり苦しいと思ったんですけどね。そこまで差がなかったのがラッキーでした。
最後ギリギリだったんですけど、村中戦は。どの変化もちょうど詰みでね。良かったですね。はい。
というわけで、右玉NOWは今後も伊藤慎吾五段を応援します!