2021年4月2日に行なわれたヒューリック棋聖戦決勝トーナメントにて、先手番の山崎隆之八段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
山崎隆之八段は今期から順位戦A級の堂々たるトップ棋士。ユニークな人柄からファン人気も高く、自由な序盤戦術と逆転術に定評がある。右玉の採用も多い。
対する後手番は豊島将之竜王。現在タイトルを分け合う4強の一角で、スキのない将棋で有名。山崎隆之八段同様、関西所属でもある。
本譜は先手が雁木から右玉、後手は矢倉という展開となった。
棋譜は、スマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」からどうぞ。
※棋聖戦の棋譜利用申請は一切返答ないため、以下、局面図なしの簡易紹介となります
先手初手▲7八金の出だし
山崎隆之八段の初手は▲7八金。
居飛車党の豊島竜王に「振り飛車にできますか?」と挑発するような手……と以前なら考えられていたが、現在ではソフトも採用する手で、振り飛車にも対抗できるので、普通の手ともいえるかもしれない。
先手は角交換を拒否して▲6七銀型へ。一度は玉を6一に移動したが、7・8筋が戦場になりそうなので、右玉へと移行した。ただし、局面はやや後手作戦勝ちという感じだろうか?
後手の強襲から右玉は一気に薄く
48手目、角の王手に対して金で受ける。右玉側の金と角の交換は右玉が悪くこともなるので強気な手。
結果的に数手後に角金交換となる。
78手目の局面は右玉がかなり薄い状況。生きた心地はしないが、局面は互角。正しく指せばいけそうだ。
後手逆転模様も先手は広さを活かす
91手目の局面ではソフト評価知的には後手が逆転模様。しかし、すぐに互角に戻る。玉はスカスカだが、広さは十分。右玉らしい展開となった。
以下、一手間違えれば逆転もある局面だったが、再逆転は許さない指し回しで最終的には大差で先手の勝利となった。
というわけで、右玉らしい広さを活かす展開で先手の山崎八段が勝利。右玉党には非常に参考になるだろう。
右玉NOWは今後も山崎隆之八段を応援します!