2021年4月5日に行われた竜王戦ランキング4組 梶浦宏孝六段 vs 中村修九段戦で、後手番の中村九段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
中村修九段はタイトル二期のベテラン棋士。「受ける青春」というニックネームで有名。棋風はオールラウンダーで右玉の採用が多い棋士でもある。
対する先手の梶浦宏孝六段は居飛車党で相掛かりを得意とする若手棋士。公式戦で右玉を採用したこともある。
棋譜はスマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」で観戦できるのでそちらでどうぞ。
竜王戦は棋譜利用が有料のため、以下は、簡易紹介です。
矢倉 vs 雁木右玉の戦いに
序盤は先手が矢倉、後手は雁木右玉。先手は3筋から攻めて徐々にリードを広げていき、1筋を突破。後手は、1筋は完全に明渡す焦土戦略に。先手優勢の状況が続くが、後手も決め手を与えない。
後手、ついに逆転するが……
159手目、後手がついに逆転。後手玉は危険だが詰みはなく、詰めろをかけていけばよい形に。
受けがなくなった時点で、先手は▲7三龍から詰ましにかかる。実は正着が△6三金しかない危険な王手だ。
後手は△5三金。
厳密には詰みはないが、正確に逃げても駒を渡す展開となるので、先手勝勢に。
後手はギリギリで逃げつつ、香の王手に受けの妙手△1四香の中合いを放つが、それを上回る▲1三香成で決着。先手勝利となった。
というわけで、中村九段が粘って逆転を果たしたが、最後の最後に受け間違えて逆転となった。受け間違えとはいえ、詰み筋は難解で梶浦六段の寄せが素晴らしかったと言えるだろう。
右玉NOWは今後も中村修九段を応援します!