2021年4月17日に放映された第4回ABEMAトーナメントで、チーム康光の佐藤康光九段が後手右玉を採用してくれたので紹介したい。
佐藤康光九段は、現棋士会会長。独特で自由な序盤戦術で人気の棋士。
対する先手は服部慎一郎四段。「忍者服部」として将棋ファンにおなじみ。Twitterでの名前も忍者服部。服部四段も力戦調は得意としている。
第4回ABEMAトーナメント予選Bリーグ 第二試合<チーム康光VSチーム糸谷>
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【公式:将棋✕AI】一手で形勢が佐藤康光九段へ振れ75%!急直下で終局へ[予選B-2第3局]│第4回ABEMAトーナメント
後手、変則的な雁木右玉へ
序盤、後手は雁木を組んだ後に玉を右へ。一般的に呼ばれる雁木右玉と比べるとかなり変則的な形。さすがは変態流の佐藤会長。
先手の▲6六角は、9筋も狙っている。後手は、右桂(先手目線だと左側の桂)を跳ねにくい。右桂を跳ねないことには右玉の形である地下鉄飛車にしにくい。
後手、端攻めを敢行
56手目、後手から△9五歩。端は右玉側の弱点でもあるが、先手も弱いところ。
▲9六歩打は後手から△9六歩とされるのを防いでいる。大事な一手。
終盤、先手にチャンスが
本局のハイライトはこの局面。先手に突然のチャンスが回ってきた。正着は一手のみ。
読み切れたらアマ高段はあるとおもう。3手先まで考えてみてほしい。
変化図
正解は▲6五桂!
△同歩なら、▲6四香! ここまで読めれば素晴らしい。
△同金は、▲4四馬がある。
というわけで、6五の桂馬は取れないので、△7五歩と左側の桂馬を外すことになるが、それでも▲4四馬が厳しい。△同金に▲5三銀で先手勝勢だ(以下図)。
本譜はこのようにはらなず、いきなり▲4四馬。逆転は起こらず後手勝ちとなった。
というわけで、変則右玉を採用した佐藤会長の勝利。さすがである。
右玉NOWは、今後もAbemaTVトーナメントと佐藤康光会長を応援します!