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羽生九段が右玉にも言及! 羽生善治九段著「現代調の将棋の研究」

右玉が出てくる本

羽生善治九段著「現代調の将棋の研究」を購入しました! 

目次に「右玉」が入っていることもあり、発売前から期待していた本です。
ミギーは基本的に電子書籍で買うんですが、この本は電子化されていないので(浅川書房は非対応?)久々の紙媒体での購入です。

というわけで、目次はこんな感じ。

まえがき
プロローグ
第1部 居飛車編
テーマ1 後手、早繰り銀の速攻(矢倉)
テーマ2 右桂を使った急戦(矢倉)
テーマ3 先手の急戦策と5筋保留(矢倉)
テーマ4 古くて新しい形の新展開(矢倉)
テーマ5 後手、右桂活用の工夫(矢倉)
テーマ6 意表の待機策とその攻防(角換わり)
テーマ7 徹底待機策に仕掛けはあるか(角換わり)
テーマ8 銀矢倉からの攻め(角換わり)
テーマ9 6筋からの積極策(角換わり)
テーマ10 端の位を取る積極策(角換わり)
テーマ11 右玉という繊細な戦法について(角換わり)
テーマ12 先手早繰り銀の攻防(角換わり)
テーマ13 銀矢倉への攻めと課題(角換わり)
テーマ14 主導権を握れるか(角換わり)
テーマ15 シンプルな桂速攻は成立するか(角換わり)
テーマ16 良くなりそうで差がつかない(一手損角換わり)
テーマ17 角換わり拒否雁木作戦(角換わり拒否)
テーマ18 課題の局面と打開策(横歩取り)
テーマ19 穏やかな形から激流へ(横歩取り)
テーマ20 ひねり飛車のように(横歩取り)
テーマ21 バランス型の攻防(相掛かり)
テーマ22 引き飛車からの構想(相掛かり)
テーマ23 見たこともない乱戦へ(相掛かり)
テーマ24 驚異の端攻めが定跡を変えた(相掛かり)

第2部 振り飛車編
テーマ25 エルモ急戦の攻防(四間飛車)
テーマ26 緩急自在のエルモ囲い(四間飛車)
テーマ27 謎の金上がりの意味と狙い(四間飛車)
テーマ28 ミレニアムへの新対策(四間飛車)
テーマ29 振り飛車でミレニアム(四間飛車)
テーマ30 トマホークの破壊力(三間飛車)
テーマ31 中飛車+相穴熊の戦い(中飛車)
テーマ32 角道を開けない新対策(中飛車)
テーマ33 4手目△1四歩の構想(石田流)
テーマ34 駒組みでも乱戦でも(石田流)
テーマ35 超急戦と押さえ込みの金(ゴキゲン中飛車)
テーマ36 人間には見つけづらい手(角交換向かい飛車)

注目はテーマ11の「右玉という繊細な戦法について(角換わり)」。
右玉は繊細な戦法なんですね……。

テーマ11以外に右玉に触れている部分もあるので、順に紹介していきます。

テーマ11 右玉という繊細な戦法について(角換わり) 基本図

というわけで、テーマ11の図を見てみます。

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 玉 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=1  △8一飛(82) まで

テーマ11の基本図は角換わりで右玉直前という感じ。アマチュア同士でも頻出する局面だと思います。

第1図

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀 ・v歩 ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=9  △4四銀(33) まで

基本図から後手は右玉、先手は4八金・2九飛型に。こちらも超よくある形。右玉党なら経験したことがあるでしょう。

第2図

後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v玉 ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀 ・v歩 ・ ・ ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v銀 ・ 飛v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 桂 歩 ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩v歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・v馬 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩二 
手数=19  △3七角成(59) まで

第2図は先手が飛車先が切ってきた瞬間に反撃。右玉党にとっては基本中の基本である手順です。

第3図

後手の持駒:角 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 銀 歩 銀 桂 ・ ・|七
| 香 ・ 金 玉 金 ・ ・ ・ ・|八
| 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
後手番
手数=1  ▲9九飛(29) まで

第3図は先手が右玉対策の地下鉄飛車へ。右玉が即悪いというわけではなく、この先の進行の一例も紹介されています。

テーマ6 意表の待機策とその攻防(角換わり) 第1図

続いてはテーマ6。後手待機策ですが、右玉も出てきます。

後手の持駒:角 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v飛 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v桂v金v歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 
手数=1  △6三金(52) まで

図1がこのような形。いわゆるセカステ右玉ですね。一時期プロでも流行しましたが、最近はやや減少気味。本書では▲3五歩からの仕掛けを紹介しており、これが先手良しとは言わないまでも、後手にとって厄介か。

テーマ12 先手早繰り銀の攻防(角換わり) 第4図

テーマ12では、△7二金型右玉にする形も出てきます。

後手の持駒:角 歩 
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v金v玉 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀v歩 ・ ・v歩v歩|三
|v歩 ・v歩 銀v銀v歩 歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 玉 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角 歩二 
後手番
手数=1  ▲6五歩(66) まで

上はテーマ12の図4。一手損角換わり7二金型、いわゆる羽生流右玉ではないですが、7二金型右玉です。かなり難解な局面かと思います。

中級者以上におすすめできる良書!

というわけで、すべて読みこんだわけではないですが、現代将棋に出てくる多彩な場面を扱っていて、中級者以上にとって良書か思います。初心者が手を出すにはやや難しいかもしれません。

右玉だけ目当てに買うのは量的におすすめできませんが、自分が指さない戦型も十分に楽しめる内容です。観る将の人にも良いかも。

というわけで、「現代調の将棋の研究」の紹介でした。

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