2021年6月6日に放送されたNHK杯テレビ将棋トーナメントにて、後手番の千田翔太七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
千田翔太七段は、コンピュータ将棋に精通した若手棋士。タイトル挑戦経験もあり、レーティングでも常時上位につける実力者だ。NHK杯ではややイメチェンした姿を見せてくれた。
対する後手は豊川孝弘七段。将棋ファンにはオヤジギャグでお馴染み。右玉党には対振り右玉の棋書「スリル&ロマン 対振り飛車右玉」の著者としても知られている。
棋譜は公式サイトの以下からどうぞ。
2021年06月06日 第71回NHK杯1回戦第10局
本譜の局面図はNHK様の許諾をいただき公開しています。
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矢倉風出だしから4筋・6筋の位を取り合う形に
序盤は角交換のない相矢倉風の出だし。
先手は4筋、後手は6筋の位を取り合う形となった。
先手は玉が不安定な状態から早繰り銀。後手は角を6四まで移動して飛車を睨む。
先手の緩手を後手は見逃さず
後手は右玉にして、先手は▲3四歩。この形は▲2二銀が形で、多くの人がノータイムで指してしまいそうだが、千田七段の手は違った。次の一手を考えてみてほしい。
△3六歩!
攻め合いで飛車を取らすのは玉の位置が悪すぎるため、▲同金しかないが……。
△3四銀! が強手。以下、▲同銀、△3五歩!(以下図)
この手が厳しい。▲同金は△2八角成。
本譜は仕方なく金を諦めて▲2六飛と浮いたが、金をとって後手優勢となった。結果は銀金交換だが、玉形が違いすぎる。
後手、着実に寄せ切る
優位に立ってからの千田七段の攻めも着実だった。
厳しい歩の垂らし。先手玉は狭い。
△7六角も好手。△5一歩成からの△3九角成が受けにくい。
後手は自然の寄せ。先手は最後に思い出王手(?)をして投了。千田翔太七段の完勝となった。
というわけで、一瞬のスキを見逃さなかった一局でした。
右玉NOWは今後も千田翔太七段を応援します!