2021年7月19日に行われたALSOK杯王将戦二次予選準決勝にて、後手番の稲葉陽八段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
この日は王座戦挑決でも佐藤康光会長が右玉を採用し(別途紹介します)、モバイル中継された3局中2局が右玉ということになった。
稲葉陽八段は名人挑戦経験もある関西所属の強豪棋士。居飛車党で、公式戦での右玉の採用は比較的多い。
対する先手は斎藤慎太郎八段。こちらも名人挑戦経験もある関西所属の強豪棋士。王座の経験があり、詰将棋の能力も超一流。
本譜は角交換なしの早繰り銀 vs 右玉となった。
棋譜は、スマホアプリ「日本将棋連盟モバイル」からどうぞ。
王将戦の棋譜利用は有料のため、以下簡易紹介となります。
絶妙なタイミングで反撃
序盤は先手が早繰り銀、後手は早々に右玉に。3筋の銀交換、2筋の歩交換のあと、後手は2筋の歩を受けずに右玉の完成を優先させる。
ポイントは38手目、先手から歩の垂らしが存在し、2筋に歩を打って収めたくなるところだが、このタイミングで△6五桂の反撃! これがソフトも推奨する絶妙なタイミングだった。
先手の強襲を最小限の被害で受ける
先手は、▲2三銀と放り込んで一気に攻め合いに。
後手は素直に△同銀ではなく、歩で飛車を叩いて角を逃しつつ飛車に当ててから銀を取る。
この工夫で、飛車成り後の手番が後手になった。右玉党に参考になる手順だ。
攻め合いも戦力の差で勝利
以降、攻め合いだが先手は駒不足が明確に。一方で、後手は盤上の駒が躍動する転回になり徐々に差を広げ、比較的はやいタイミングで先手は投了。後手の快勝となった。
本譜は右玉らしさが存分に発揮された好局。右玉党はぜひ、並べてみてほしい。
というわけで、右玉NOWは今後も稲葉陽八段を応援します!