2021年7月24日に生放送された第4回ABEMAトーナメントで、チーム糸谷「FREESTYLE」の糸谷哲郎八段が後手右玉を採用してくれたので紹介したい。
糸谷哲郎八段は関西所属の強豪棋士。竜王位の経験がある他、王座や棋王への挑戦経験もあるA級棋士だ。居飛車党で右玉の採用も比較的多い。ダニーの愛称でもお馴染み。
対する先手は羽生善治九段。説明不要のスーパースターで、タイトル獲得は99期。棋風はオールラウンダー。
お〜いお茶presents第4回ABEMAトーナメント チーム羽生VSチーム糸谷
※ABEMAプレミアムでしか視聴できません
※公式YouTubeチャンネルの棋譜動画はまだアップされていないようです。
後手は角交換なしの雁木右玉へ
序盤、先手は矢倉模様から角出で牽制。後手は雁木から右玉へと進んだ。
形勢は互角。
開戦は後手が飛車を2筋に振った局面。先手が4筋の歩を突く。
先手は端も絡めて攻めてくる。次の一手は、右玉らしい一手。
△6九角打!
馬を作る狙いは常に発生する。若干▲5八歩が気になるところだが、△7八角成と切ってまだ一局のようだ。本譜は馬を作れる順になって、後手が指しやすくなったかもしれない。
右玉の攻め筋控えの桂
72手目、先手から左端も付いたところで、△8四桂。この桂打ちは右玉で非常によく出てくる筋なので覚えておきたいところ。
先手からも桂打ち。こちらは▲8三角を狙っている。後手は△8一飛で受ける。
それでも先手は▲8三角から飛車を取りに行き、▲8一飛。
右玉は飛車打ちに弱いが、形勢はまだ互角。ここからの糸谷玉は非常に堅かった。
糸谷八段、鉄壁の右玉
少し進んだ局面。先手玉の周りは角と香、桂馬2枚という心もとないが、金銀の壁もあって意外と堅い。急所が見つけにくい形だ。この局面は互角だが、わずかに後手より。
少し進んで先手が▲6二金と打ったところ。内部から食い破ろうとしている。次の一手も好手。
盤石にする△7二銀打!
局面は後手有利に。先手から速い攻めはない。
糸谷八段、先手陣を一気に崩壊させる
少し進んだ局面。糸谷八段はここから先手の堅陣を一気に崩壊させる。
△6五歩、▲3二歩成、△6六歩、▲同金、△6四香、▲4九香、△7八馬、▲同玉、△7六桂。
矢倉が一瞬で崩壊。
ここから攻め合いになるが、後手の方が早く、先手投了となった。
というわけで、右玉側の快勝。受け、攻めともに右玉党にとって参考になる一局といえるだろう。
右玉NOWは今後も糸谷哲郎八段を応援します!