2021年8月18日に行われたマイナビ女子オープン本戦にて、先手番の中澤沙耶女流初段を採用してくれたので紹介したい。
中澤沙耶女流初段は右玉を得意戦法とする右玉党が注目すべき女流棋士。YAMADA女流チャレンジ杯優勝の実績あり。白玲戦・女流順位戦はC級。
対する先手は塚田恵梨花女流初段。両親が棋士・女流棋士という将棋界のサラブレッド。白玲戦・女流順位戦はC級。はB級。
本譜は日本将棋連盟の棋譜利用許諾をいただき紹介しております。
主催:マイナビ、日本将棋連盟
棋譜は以下からどうぞ
2021年8月18日 第15期マイナビ女子オープン 本戦 塚田恵梨花女流初段 対 中澤沙耶女流初段
先手から角換わりを誘い、右玉へ
序盤は先手から角交換を誘って角換わりに。先後は逆だが青嶋未来六段の名著「現代右玉のすべて」でも紹介されている指し方だ。
右玉完成。後手は腰掛け銀を保留。
右玉、積極的に銀を繰り出す
先手は積極的に銀を進出。
仮に△5四歩なら、▲同銀! という手がある。
△同銀に▲7二角が飛銀取り。
ただ、▲同銀に△7二銀と引かれると微妙なようだ。△5四歩には素直に引き下がるしかないだろう。
△3一玉に▲4五歩とガンガン攻めていく。
と思ったら一転してB面攻撃。やや戦力不足なので歩を補充ということだろう。
先手、駒損をものともせず攻める
後手の端攻めを手抜いて▲3五歩と急所を攻める。後手は、端攻めがぬるかったか。ソフト評価値は互角。
先手は角取りを手抜いて急所を攻めていく。
銀取りも手抜いて▲2四歩。足が止まると終わりなので攻め切るしかないところ。
△同歩▲同飛△2三歩に▲3四銀!
ギリギリの攻めだが、評価値は互角。
先手は駒損ながら飛車成を実現。
後手は△2六角打ちで待望の反撃。この角にはヒモが付いている。
中澤女流、華麗に決める
後手は△2八銀。部分的には厳しいが詰めろではない。ここで先手に好手がある。
▲4四桂!
角の連結を切りつつ金取り。この手で勝負あったか。
後手は銀を外すが、ここで決め手があった。▲3二桂成から飛車をとってもよいが、遥かに上回る好手。ぜひ、考えてみてほしい。
▲6三龍!
△同金は▲4三銀から詰み。
(▲4三銀△5三玉▲5二桂成まで)
というわけで、後手投了。右玉勝利となった。
銀を繰り出す攻めは厳密には成立していないかもしれないが、終盤の切れ味など右玉党に参考になるだろう。
というわけで、右玉NOWは今後も中澤沙耶女流初段を応援します!
公式の勝利者インタビュー動画もどうぞ