2021年9月22日に行われた叡王戦予選で、後手番の佐々木勇気七段が右玉を採用してくれたので紹介したい。
佐々木勇気七段はスイスのジュネーヴ生まれの27歳。中学生棋士は逃したものの16歳でプロ入りした俊英。居飛車党で角換わりを得意とするが、たまに振り飛車も採用する。右玉の採用も多めだ。
対する先手は中村太地七段。タイトル戦登場4期、獲得1期のトップ棋士。テレビ出演も多く、最近はYouTuberとしても活躍中。棋士中村太地将棋はじめch
本譜は正調角換わりから後手が7二金型右玉を採用。やや不利な局面から一瞬のチャンスを逃さなかった。
※本譜は棋譜利用の許諾を得て紹介しいます。
叡王戦の主催は不二家、日本将棋連盟。
協賛はレオス・キャピタルワークス(特別協賛)、SBI証券(特別協賛)、中部電力
後手、早繰り銀から7二金型右玉
序盤は角換わりから最近流行中の相早繰り銀へ。そこから後手は右玉へ。
一般的な右玉は6三に銀があるので、この形を右玉と呼ぶのに異論がある人がいるかもしれない。しかし、ここでは右玉としておく。
後手は飛車を浮いてあらかじめ桂頭を守るが、先手は構わず▲5六角。この角が働くかどうかの勝負となった。
中央の制空権争いに
以下は少し進んだ局面。
飛車を中央に展開して△5四銀と打つ。中央の制空権争いとなった。ソフトの評価は互角。
さらに進んだ局面。
△5六歩がソフト的に緩手。▲5五桂を許して先手有利に。変えて、△3四歩なら▲5五桂がなかったようだ。
後手、一瞬のすきを逃さず
先手が▲5六金と手厚く受けたところだったが、後手にチャンスが回ってきた。次の一手を予想できるだろうか?
△5九銀! が寄せに入る好手。
この手を上回る▲6九玉! という手もあったようだが、なかなか指せないだろう。
本譜は▲同金として後手逆転。
△同馬▲同桂△5七桂成と進んだ局面。▲同金は詰み。
▲6七銀と打って受けるが……。
△5六飛と切り込んで後手投了となった。
▲同銀は一手詰み、▲同飛も△5三銀から17手詰み。
▲6一玉は△6八銀から13手詰み。
後手玉に詰みはなく、先手はここで投了。後手の勝ちとなった。
以上、変則的な右玉から佐々木七段が鋭い寄せを見せた一局でした。
右玉NOWは、今後も佐々木勇気七段を応援します!