第44期棋王戦挑戦者決定トーナメントの深浦-行方戦(2018年7月26日)で右玉が登場した。
深浦九段が雁木。対する行方八段が右玉である。
右玉らしく、相手の攻撃をうまくいなしつつ、反撃する流れが参考になるだろう。
雁木は流行中の戦法だけに並べておきたい。
棋譜は以下の通り。
2018-07-26 棋王戦深浦康市 九段 vs. 行方尚史 八段 第44期棋王戦挑戦者決定トーナメント
雁木に対して行方八段が右玉!
後手の持駒:なし 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v歩v歩v歩v歩 ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 銀 銀 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=36 △6二玉 まで
雁木に対して、右玉。ソフト的には互角。結論が出ていない形だけに、今後もプロ棋戦で登場してもおかしくない形だろう。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v角v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 ・ ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:なし 手数=40 △6五歩 まで
先手の攻めに対して6五歩。この手が機敏だった。
仮に同歩と取ってしまうと、4五歩でゲームセット。
後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一 | ・v飛 ・v玉v金v角v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・v歩 ・ ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ 歩|六 | ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 角 ・ ・|七 | ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 後手番 手数=45 ▲3七角 まで
少し進んで3七角。これが疑問手だったようだ。いずれ3六歩で移動せざるを得ない。
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v玉v金 ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀 ・v銀v桂v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v角v歩v歩 ・ ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩v歩 角 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩二 後手番 手数=59 ▲8八玉 まで
続いて、先手が8八玉と入城した局面。
ここで行方八段は5三金として4四銀に備えたが、やや疑問か。
ソフトでは、3七歩成、同角、3四歩打、2六銀という展開を推奨している。
銀捨ての鬼手炸裂!
後手の持駒:歩 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v金v銀 ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v角v歩v歩 歩 ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・v桂 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩v歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 後手番 手数=63 △3四玉 まで
この局面で行方八段は3四銀の鬼手!
後手の持駒:歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v金 ・ ・v歩 ・|三 |v歩 ・v歩v角v歩v歩v銀 ・v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・v桂 銀 歩 ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩v歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・|七 | ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八 | 香 桂 ・ ・ 角 ・ ・ 桂 香|九 +---------------------------+ 先手の持駒:歩 手数=63 △3四銀 まで
中継室は驚き、行方八段も9五歩と迷ったようだが、ソフトの最善手。これぞプロという手である。
同銀に4六角と飛び出して先手優勢。
後手の持駒:金 歩二 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・v香|一 | ・ ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二 | ・ ・v桂v銀v金 ・ 歩 ・ ・|三 |v歩 ・v歩v馬v歩v歩 銀v歩v歩|四 | ・ ・ ・v歩 ・v桂 ・ ・ ・|五 | 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v歩 ・ 歩|六 | ・ 歩 銀 金 ・ ・ ・ 飛 ・|七 | ・ 玉 ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・|八 | 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九 +---------------------------+ 先手の持駒:銀 香 歩二 手数=82 △6四馬 まで
攻防の馬引き。右玉優勢。以降は優勢を維持したまま行方八段の勝利。
雁木に対する右玉の快勝譜といえるだろう。