2022年10月に発売された「高田明浩の右玉新時代」を購入しましたのでレビューします。
自分の購入先はマイナビ。棋譜付きバージョンがあるのがうれしいところ。自分は書籍ではなく、すぐに読みたかったのでPDF版を買いました。
著書の高田明浩四段は藤井五冠と同世代の新進棋士。
小学生の頃から右玉を指し、奨励会時代までは右玉中心に指していたという棋界屈指の右玉党で、右玉好きのアマからすれば待望の一冊となります。
本書の内容は、角交換型右玉が中心。それから雁木右玉、対中飛車の対振り右玉が紹介されています。最終章の「先手四間飛車」は対四間飛車ではなく、四間飛車の定跡です。
右玉の章はすべて後手右玉。盤面図がひっくり返っているということもないので、超初心者はやや見にくいかもしれません。
後手番ではありますが、右玉からの攻め筋が多数紹介されているところが魅力的と言えるでしょう。
というわけで、各章の内容を簡単に紹介していきます。
第一章 角交換型右玉
手損のない正調角交換。
テーマ1 対矢倉☗5八金型
アマ同士の対局でもよく見かける対☗5八金型腰掛け銀。上の局面を相手の対応によって深掘り。ほか、角交換では避けられない▲4五桂への対応方法、先手の飛車先歩交換に対する△3五歩からの強い対応、ツノ銀右玉への変化などが紹介されています。
テーマ2 対☗4八金型
テーマ2は流行中の対☗4八金型。図のような△6五桂から積極的に行く手、相手の攻めを封じる指し方、先手中住まいへの対策など。
対☗5八金型同様、上図局面からの展開はとくに詳しく紹介されている。
テーマ3 対☗6七金左☗7八玉型
テーマは3は上図のような対右玉専門の指し方への対策。先手は端攻めを狙っており、右玉を指していると必ず遭遇します。
△6二玉と入れて先に戦場から避ける方法のほか、端攻めが来る前に積極的に攻めていく手などが紹介されています。
テーマ4 対早繰り銀
テーマ4は早繰り銀。対右玉として非常に有効な戦法ですね。
対早繰り銀の場合、悠長に右玉にはできないケースも多く、本書も△5二玉型を中心に解説しています。序盤の速攻に対する対策、強敵である▲5六対策も紹介されており、参考になるでしょう。
テーマ5 対棒銀
テーマ45は対棒銀。本書では上図のように1筋は受けず、▲1五銀を許す指し方。△2二銀に対する受けの方法はかなり詳しく紹介されています。
第二章 雁木右玉
第二章は△4三銀型に組む雁木右玉の戦い方を紹介されています。
テーマ1 vs早囲い
テーマ1は、先手早囲いに対して雁木右玉で応じるパターン。ここから先手は片矢倉、後手は▲8一飛から逆襲する手順。先手からの激しい攻めに対する受け方、反撃方法が詳しく解説されています。
テーマ2 vs☗七八金☗6九玉型
先手が一般的な手順で櫓を組み、後手は雁木右玉にするという流れ。先手がじっくりとしてきたとき、速攻を仕掛けてきたときの対応方法が紹介されています。先手の攻めをしっり受け切るのはけっこう大変です。
第三章 対振り右玉
第三章は、対振り右玉、いわゆる振り飛車に対する右玉の紹介です。基本的には対中飛車ですが、相手が三間飛車に振り替えるケースもあります。
対振り右玉の基本図。安全な組み方、端角から攻め筋などが紹介されています。後手対振り右玉は先手が正確に攻めれば苦しいイメージもありますが、本書では受けの最善策が紹介されています。ただ、先手には四間に振っての端角など、本書では触れられない手もあるので、そちらも対応を勉強しておく必要はありかと思います。
第四章 先手四間飛車
第四章は先手四間飛車です。右玉ではないですが、ここまではすべて後手番だったので、後手は右玉、先手なら四間飛車というイメージでしょうか。個人的に四間飛車は指しませんが、右玉と近い感覚という話もあります。
基本図は以上のような感じ。先手は美濃、後手は穴熊を目指します。
「高田明浩の右玉新時代」のレビュー
全変化を精査したわけではないですが、ざっと読んでみた本書の感想です。
プロ棋戦ではそれほど見かけないけど、アマ同士の対局なら頻出する局面を多数扱っており、右玉党にはかなりおすすめできる内容になっています。おそらく高田四段が実際に経験した局面が多くあるのでしょう。ソフトのチェックもかけられており、実際は右玉が大きく不利という局面もほぼないかとおもいます。
当然ですが、右玉を網羅しているわけではないので過度な期待は危険ですが、本書をベースに実戦を重ねるだけで、右玉初心者もある程度の右玉党になれると思います。右玉からの攻め筋も多数紹介されており、これから右玉を指し始めたいという人にはかなりおすすめです。
以下はマイナビへのリンク。棋譜データなどの特典があります。
高田明浩の右玉新時代