2023年7月3日に行われた第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局にて、後手番の佐々木大地七段が右玉を採用してくれたので紹介します。
本局は藤井聡太棋聖(七冠)に佐々木大地七段が挑戦する棋聖戦の第3局。
ここまで1勝1敗と両者譲りません。
クレジットは以下のとおりです。
第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負 第3局
主催:産経新聞社、日本将棋連盟
棋譜は以下から閲覧できます
2023年7月3日 第94期ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第3局藤井聡太棋聖 対 佐々木大地七段
先手番の藤井聡太棋聖は説明不要の国民的スター。将棋タイトル八冠中七冠を獲得し、残るは王座のみ。
棋聖戦は3連覇中で4連覇を目指しています。
ちなみに公式戦では右玉を2回指して2回とも勝利。一方で、対右玉の勝率も100%となっています。
後手番の佐々木大地七段は、棋聖戦と王位戦でタイトル挑戦となった若手のホープ(藤井聡太七冠よりは年上ですが)。
プロ棋士の中でも右玉の採用率が高い棋士で、右玉NOWとしても注目している棋士の一人です。
棋士レーティングでも上位の強豪ですが、なぜか順位戦との愛称は悪くC級2組に留まっています。
本局は角換わりの出だしから、後手が右玉に変化。そこで先手が脅威の一手を放つ展開となりました。
後手番の佐々木七段は角換わりから一度左行った玉を6三経由で右へ転回。
タイトル戦での右玉はかなり久々だと思われます。
次の藤井棋聖の一手がプロも驚いた奇手。
▲9七桂!
自分も右玉はよく指しますが、この手は指された経験はありません。
ただ、手元の水匠5も最善手ですし、ソフト的には成立するようです。
ソフト研究の深さでも定評のある藤井棋聖なので、恐らく研究済みだったと思われます。
ここで△9五歩は▲同歩△同香▲8五桂!で駄目。
△9八歩としたいですが、▲7三桂成△同金▲8六銀は先手優勢(以下図)。
▲9七桂の狙いは8筋に飛車を振っての逆襲。後手はすぐに玉を避難させますが、先手有利の展開となっていきました。
これからアマ同士の対局でも▲9七桂は出現するでしょうが、その後の展開を見ても分かる通り、かなりの微差。ここから勝ち切るのはかなり難しいかもしれません。
右玉党としては▲9七桂を研究しておきたいところです。
本局は藤井棋聖がじりじりと差を広げ、後手の攻めを切らした藤井棋聖の勝利となりました。
というわけで、右玉NOWは今後も佐々木大地七段を応援します!