糸谷八段といえば、対振り飛車の糸谷流右玉が有名だが、順位戦A級という大事な舞台で角換わりの右玉を指してくれた。
しかも相手は羽生竜王! 右玉党にとっては興奮が抑えられない一局だ。
まずは、以下の棋譜を並べてみよう
2018-07-26 順位戦羽生善治 竜王 vs. 糸谷哲郎 八段 第77期順位戦A級1回戦
出だしは6二金型角換わり腰掛け銀模様
序盤は相腰掛け銀。6二金、8一飛の流行型。
このようにいきなり右玉にするのではなく、相手の態度によって右玉に移行するのがプロの指し方といえる。
玉の大移動を経て右玉へ
5二玉→4一玉と玉の移動で相手の出方を待つ。
玉の大移動を経て、52手目にして右玉に。
4六角打との戦い
先手が4六角を設置。6四銀が狙いだが、受けにくい。
6四銀は甘受して2七角打。右玉側から狙い筋になりやすい一手だ。
緩手から羽生竜王の攻めが冴える
角・飛取りになる3六角成。しかし、この手は甘く、先手に形勢が振れてしまう。
6四同銀なら互角だった。
ここからは羽生竜王の流れるような攻め。
5三歩成、同銀、7三銀成、同金、同角成、同玉、6五桂打で上図。
再び形勢は難解ながら右玉へ
少し進んで2五桂。しかし、自然に見えるこの手が悪手で形勢が右玉側に。
しかし、ここからも当然ながら難しい。
糸谷八段の受けの技術は右玉党にとって参考になる。
飛車取りは放置し、7三桂打と攻め駒を攻める一手。
最後はスパっと決め手右玉勝利!
端歩を入れつつ、最後は7九飛打。同金は同馬が詰めろ。羽生竜王はここで投了した。