最近では公式戦での右玉は珍しくなくなったが、女流棋戦も例外ではない。
8月29日には、リコー杯女流王座戦本戦トーナメント準決勝で、伊藤女流二段が右玉を採用してくれた。
棋譜は以下を参照してほしい。
2018年8月29日 第8期リコー杯女流王座戦本戦トーナメント伊藤沙恵女流二段 対 加藤桃子奨励会初段
スマホなので見られない、という方は以下
2018-08-29 女流王座戦加藤桃子 初段 vs. 伊藤沙恵 女流二段 第8期リコー杯女流王座戦本戦トーナメント
棋譜解析の結果は以下の通り。
右玉 vs 矢倉の戦いへ
先手矢倉に対して、後手は右玉へ!
右玉党注目の一局となった。
相手の陣形を見て、右玉から仕掛け
1五歩と後手の右玉から仕掛け。
先手の玉が入城する前に攻めたいという一手だ。
この手が成立するかどうかは非常に興味深いところ。
同歩、同香に対して、2四歩は手筋。
しかし、ここはじっと1七歩打とされるほうが右玉は辛かったか。
ソフト的に、やや先手有利となる。
とはいえ、2四歩も悪い手ではない。
伊藤女流は同角と取る。
2四歩は論外だが、ここでは1九香成もあったかもしれない。
1九香成、2三歩成と攻め合いになるが、そこで1五角と飛び出す。
さらに、3二と、3七角成、2二飛成、4七馬の激しい攻め合い。
局面は互角だ。
本譜では以下の局面に。
端攻めでよくある変化。
先手目線では、糸谷流右玉でもあり得る。
以下は、1六歩、2四香、1七歩成、2六飛、2四歩
右玉は角香交換となるかわりに、と金を作ったことが主張だ。
先手が決め手を逃して右玉優勢に
少し進んで以下の局面。
難しい局面だが、ここでのソフトのみは2六飛と強く香車を取って、同龍に対して、2七金打!というもの。
大事な金を辺境で使ってしまうのはいかにも筋が悪いが、これで先手が指せると見ている。
実戦は1六歩打から龍の場所を動かしつつ、4五桂の勝負手を放ったがが、これが悪手。以降は右玉側に評価値が傾いていく。
最後は華麗に寄せ
以降は伊藤女流が詰めろ詰めろで迫り、以下の局面。
7九龍が読み切りの一手で、先手玉は詰み。
9七玉と逃げても、同金でも詰み。本譜は、同金、同龍と進んで、以下の局面で加藤初段が投了。
8六桂打。同歩は7八龍、同銀は8八金打までとなる。
以上、伊藤女流の右玉でした。