糸谷流右玉に対して、振り飛車側の金銀が偏った場合、棒金作戦が有効。
一方で、振り飛車側が大駒をバッサリと切っていく攻めが決まってしまう可能性もあり、受けの技術も必要になってくる。
というわけで、今回は糸谷流右玉の棒金作戦を紹介したい。
テーマ図は以下の通り。
この局面でソフトに20局指してもらった結果は右玉側の15勝4敗1分。
右玉としては積極的に狙っていきたい局面と言える。
金を繰り出していく手はない
さて、テーマ図であるが、意外と手は広い。
ソフトに検討させてみると、次々と最善手が変わっていく。
はじめに、ダメな手を紹介しておきたい。
強く、3五金!
さすがにここで飛車を切る手はなく、後手も3一飛と引くしかない。
先手の狙いは次の2四歩だが、そこで3四歩打とされると少し苦しい。
2五金は1三桂でダメ。
つまり、3五金は悪手ということになる。
3五歩~3六金がおすすめ
おすすめの手は3五歩だ。
3五歩に3二飛、そこで3六金。
右玉の狙いは2四歩となる。
振り飛車側の強襲に対応する
振り飛車側は4五歩と角筋を通し、対して右玉は2四歩。
ここで、振り飛車側の強襲に注意したい。
飛車切り一閃!
3五飛!
これが恐るべき一手で、この飛車は取ってはいけない。
なんと右玉が不利になってしまうのだ。
同金に対する同角は必然。
そこで、3一飛打としたら、角を見捨てて4六歩、3六銀なら2四角と手順に歩を払われる。
飛車を取らない
右玉側の最善手は飛車を取らずに4五桂!
同銀、同歩で先手指せる。
9五歩からの攻め筋も覚えておこう
糸谷流右玉で覚えておきたいのが、9筋の攻め。
角が9筋にいるとき、振り飛車から角頭を狙った9筋の歩突きはよくあるが、右玉側からも成立する場合がある。
具体的には以下の局面。
6四歩でも一局だが、ここで9五歩も成立する。
同歩に対し、6四歩、同銀で歩を補充してから
9三歩打。
美濃崩しの手筋だけに、常に狙っていきたい。
同香に8五桂と跳ねるのが継続手。
ここで9四香と逃げたら、6四角と角を切る。
同角に2四飛の局面は、右玉やや有利だ。
以上、まとめると
・大駒を切り飛ばす筋は十分に注意。攻めが繋がる可能性高い
・角が9筋にいても端攻めは常に考える
ということがポイントになる。