マイナビ女子オープン1回戦の香川女流三段 vs 鈴木環那女流二段戦で右玉が登場した。採用したのは後手の鈴木環那女流二段である。
鈴木環那女流といえば、NHK杯の棋譜読み上げなどもつとめ、テレビ出演も多い人気女流棋士。
「ナオ&カンナの教えて♪13路」での謎の歌とダンスも必見。
余談だが、ミギーは鈴木女流に一局教わったことがある。とても感じのよい人で、それ以来ファンである。そのとき、ミギーは右玉で挑んだが、それがこの一局の右玉に繋がっているかもしれない(なわけはない)。
対する香川女流三段はタイトル経験のある実力者で、番長のニックネームでも有名。最近ではコスプレ棋士としてテレビに出ることも。
というわけで、棋譜は以下からどうぞ。
2018年9月28日 第12期マイナビ女子オープン 本戦香川愛生女流三段 対 鈴木環那女流二段
スマホの場合は、以下から。
2018-09-28 マイナビ女子オープン香川愛生 女流三段 vs. 鈴木環那 女流二段 第12期マイナビ女子オープン本戦
序盤のちょっとした優位を逃す
先手は片矢倉。対して、後手はまだ態度を見せない。
この局面でのソフト的な評価は互角。
先手が5七銀と上がって固めた局面。
実はこの局面が一局通して唯一といってもよい後手よしの局面。
難解だが、ソフトの最善手は9四歩、6二玉と右玉にするのも次善手で評価が高い。
そのほか、3四銀と角に当てる手もある。
鈴木女流二段は6五歩。
自然な手でミギーも第一感だし、多くの右玉党もそうであろう。
しかし、この手は悪手まではいかないまでも疑問手。
ちょっと時期尚早で、2四歩からの反撃が厳しくなってしまった。
後手・鈴木女流、右玉へ
2四歩、同歩、同角、同角、同飛、2三歩打、2八飛と自然な進行のあと、後手は6二玉と右玉へ。
この局面は互角だが、わずかに先手が指しやすいか。
先手9六歩にたいして、3三桂。
右玉としても左桂は使いたいところだが、この手も疑問。
3四歩、同銀のあと、6五歩から桂馬を狙いに行く手順がある。
具体的な進行の一例は、3四歩打、同銀、6五歩、同桂、6六銀、6四歩打、7五歩、7七桂成、同桂、7五歩、4四桂打。これは先手よしだ。
桂頭を守る幻の手順
対する香川女流三段は1六角打!
次の3四歩打が厳しく好手に見えるが、ソフト的にはやや疑問。
2四歩、同飛、2五歩というひねった筋がある。下図。
変化図。こうなれば、右玉やや有利。飛車の逃げ場がない。
2四歩に対して同飛と取れなければ、3四歩に対して、2五桂と跳ねることができる。
先手が優位を重ねて右玉に勝利
本譜は6四角打。ソフトの読み筋の一つであるが、徐々に形勢が先手に傾いていく。
以降は右玉側に見せ場はなく押し切られて、香川女流三段の勝利となった。
残念ながら右玉の負けとなってしまったが、鈴木女流にはまた右玉にチャレンジしてほしい。
右玉NOWは鈴木環那女流二段を絶賛応援しています!