加古川青流戦の決勝三番勝負第2局、大橋貴洸四段 vs 梶浦宏孝四段戦で、大橋四段が4七金型の変則右玉を採用してくれた。
大橋四段は現時点(2018/10/22)で勝数ランキングが藤井七段と並ぶ2位の若手ホープ。藤井七段との対戦成績は2勝2敗で、ライバルと言ってよいだろう。カラフルなスーツを着こなすことでも有名。
梶浦四段も10代でプロ入りし、毎年安定した成績を残している。
加古川青流戦は、「将棋のまち加古川」として、加古川市を盛り上げるための新しい棋戦。棋士四段位・奨励会三段位上位者、女流棋士2名、アマチュア3名が出場できるトーナメント戦だ。
棋譜は以下からどうぞ。
2018-10-20 加古川青流戦大橋貴洸 四段 vs. 梶浦宏孝 四段 第8期加古川青流戦三番勝負 第2局
以下は公式だが、要Flash
2018年10月20日 第8期加古川青流戦三番勝負 第2局梶浦宏孝四段 対 大橋貴洸四段
出だしは一般的な角換わり
この形は7五桂と跳ねる筋を常に警戒しなければならない。6八玉は大事な一手だ。
先手は1五歩と突き越すことができ、右玉の可能性が少し上がったかも知れない。
先手、5六銀と出て相腰掛け銀模様に。
3八金型の右玉から4七金型の右玉へ
先手は4八玉型の右玉へ。角換わりの上に相手は居飛車だが、糸谷流右玉風だ。
5六銀、4七金の変則的な右玉へ。古くからの右玉党ならば、将棋倶楽部24の超強豪SecondStage氏が愛用してたことで見たことがあるかも知れない。
また、村山慈明八段著「アマの知らない最新定跡」のP64図8でも似た形が紹介されており、ない形ではない。
右玉、強気の攻め
図は先手の大橋四段が4四銀と出たところ。
6六銀と歩を払う手があるだけに、かなり強気の手だ。
ソフト的にはやや危険な手で、評価値は500以上下がってしまった。
後手は4三歩打と収めることもできたが、6七歩成を敢行。
右玉は手抜いて4三銀打!
ここが後手にとって重要な局面だったが、次の一手は緩手。
4二銀打。
6五角打からの攻め合いや4二歩打のほうがよかったかもしれない。
後手にチャンスが来るが逃す
やや先手持ちの局面が続くが、上の局面は互角。
金取りを手抜いて6七角成は、同金、同龍、5二馬の局面は2枚換えで先手も薄そうだが、意外と後手からの攻め筋がなく、先手勝勢。
そこで後手は4三金と逃げたが、これも甘く4二金なら互角だったかも知れない。
右玉、受けの好手で優勢へ
続いての局面。次の大橋四段の一手は好手で、先手優勢が確実になった。予想してみてほしい。
8八歩打!
同龍で次の6七角成が厳しく見えるが、7九金が継続手。
龍角両取りで先手安泰だ。
6八歩打も見えるが、これには8九龍があり、危険。
後手は龍を切って2枚換えをするが……
2一金打!
これで馬を抜くことができる。
続いては、後手の好手。この局面の次の一手。
1二玉と玉の早逃げ。これで後手玉も耐久力が出てきた。
しかし、先手に迫る手段も難しく、先手勝勢は変わらない。
最後は15手詰めで右玉の勝ち
上の局面は王手龍取りから龍を外した局面だが、後手玉には詰みがある。
最短15手詰みがあったが、大橋四段はやや長い詰み筋で読み切る。
というわけで、大橋四段が勝利し、2勝目をあげて加古川青流戦を制した。
4七金型の右玉は珍しいため、相手も対策ができない可能性はある。変化球の1つとして、研究してみるのもよいかもしれない。