2018年11月22日に開催されたA級順位戦の大舞台で、佐藤康光九段が雁木右玉を採用した。
佐藤九段は現将棋連盟会長。羽生世代の強豪で、独創的な序盤が魅力。
対する三浦九段もA級の強豪。ソフト冤罪事件で被害も受けたが最近は復調中。
棋譜は以下からどうぞ。
2018-11-22 その他の棋戦三浦弘行 九段 vs. 佐藤康光 九段 null
佐藤九段、雁木右玉へ
序盤は後手の佐藤九段が角換わりを拒否し、雁木模様に。
対する三浦九段は右四間飛車で対抗する。
佐藤九段は玉を右へ。雁木右玉となった。この局面はほぼ互角。
右四間飛車からの仕掛け
三浦九段が4四歩と取り込んで仕掛ける。
同銀に4五銀とぶつけるのが継続手。
勢い同銀と取ってしまうと、2二角成、同金、4五桂と攻められる。
仮に4四歩と受けても5三銀打からゴリゴリ攻められて敗勢だ。
というわけで、角筋を止める5五歩が好手。対右四間ではよくある手筋なので覚えておきたい。
4四銀、同銀、5五角に4三歩打。これでいったん先手の攻めが止まった。
三浦九段の攻め
続いては角交換から、6六角打とした局面。非常に受けにくい。
佐藤九段は1一角成を甘受する3二金。
1一角成に対して、3三桂。これが飛車で馬取りになる。というわけで、三浦九段は1五香とした。この時点ではやや先手有利か。
佐藤九段、両端から攻める異筋の攻め
佐藤九段は9五歩と端歩で攻める。玉が近いだけに、右玉からは攻めにくい筋だが、相手の弱点でもある。
同歩に8八歩打。
同玉は危険地帯に誘えるし、同金なら壁になる。端歩とセットにしたい。
ここで右玉の次の手が非常に難しいが、佐藤九段らしい手が出た。
1七角打!
戦場から遠くぼんやりとした手。好手とはいえないかもしれないが、本局は結果的にはこの角が生きることになった。
佐藤九段、一気に寄せ切る
局面は先手が4七香と打ったところ。局面は互角。
6五桂、4三香と攻め合いに。
以下、7七桂成、同金、5八歩打!、同金、7六桂。
同金とすると、8七飛成があるので、この桂は取りにくい。
というわけで、三浦九段は5五桂打と攻め合いを選択。
8八銀打、6九玉、6八桂成、同玉、7九銀打、5九玉、3九銀打まで決める。
先ほどの5八歩打、同金は5一玉と逃げさせて馬筋に入れる意味だったのだろうか? それならかなりすごい読み。
この局面では後手に詰みはない。
三浦九段は8五桂打まで進めて首を差し出す。先手玉には9手詰めがあるので、考えてみて欲しい。
正解は、4八銀成(不成も可)、同金、4七桂。
三浦九段はここで投了。
以下、4九玉、3九飛打、5八玉、5九桂成、4七玉、3六飛成まで。
以上が詰め上がり図。
というわけで、佐藤九段が雁木右玉を採用して勝利した一局でした。
対右四間の受け方としても参考になったかも知れない。