2018年12月3日に開催された朝日杯将棋オープンの二次予選山崎隆之八段-畠山鎮七段戦で、畠山鎮七段が相掛かりからの右玉を採用してくれた。
畠山鎮七段といえば、双子の棋士として有名。「マモルは攻める」という言葉がある通り、攻め重視の棋風だ。
一方の山崎八段は、元祖関西の王子。過去にはNHK杯で羽生竜王相手に右玉を披露したこともある(参考棋譜)。
というわけで、棋譜はこちらからどうぞ。
2018年12月3日 第12回朝日杯将棋オープン戦二次予選山崎隆之八段 対 畠山鎮七段
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https://migigyoku.com/kifu/kf.php?kifu=20181203_1000.kif
序盤は相掛かり模様
序盤は相掛かり。このあと右玉になるとは思えない局面。
後手は腰掛け銀に。
相手の手を受け流しつつ、右玉的な感じになる。
後手、右玉へ
ついに玉が右へ。対して先手は中住まい。局面は互角。
後手、ついに右玉へ。金が3三に上ずっている以外はオーソドックスなスタイルだ。局面はやはり互角。後手としては悪くない。
先手にスキができるが見逃す
先手が7七銀と上がったところ。ソフトによると、ここで先手陣にスキがあったようだ(+500ほどの評価になる)。
後手を持って次の一手を考えてみて欲しい。
正解は、3八歩打!
ぱっと見て2五桂と跳ねるのが幸便のように見えるが、2四金とされると2八の歩を払う暇がない。
3八歩に対するソフトの最善手は、なんと6八銀! 7七に移動したばかりの銀を戻す手。
以下、3九歩成、4五桂!とするのがソフトの読み。
本譜は3八歩ではなく、2四歩だった。
ソフト的には次善手で、これも悪くはなさそう。
右玉優勢も痛恨の悪手
少し進んで、先手の飛車が6筋に回った局面。この場面の評価値は右玉に+700以上。しかし、次の手が悪手だった。
4六桂と打たれてしまい、再び6二銀とバックすることに。評価値は互角に戻る。
続いては、先手が6七銀打としたところ。
右玉は6五銀としたが、これも悪手。
形成は一気に先手に振れてしまった。
以降は、お互いに緩手はあったものの、先手が優勢を維持したまま勝利となった。
しかし、相掛かりから右玉にする発想は面白いし、中盤まで優勢だったので作戦としてはよかったとおもう。