広瀬章人竜王が渡辺明棋王に挑戦する棋王戦の初戦で、広瀬竜王が相掛かりの出だしから途中で右玉へと変化した。
広瀬竜王は現役トップ棋士の1人。最近は右玉を相手にすることも多く、右玉にやや苦戦している印象。
一方の渡辺棋王は強豪ばかり相手に15連勝を記録するなど現在絶好調。A級復帰も決めている。
というわけで、棋譜は公式サイトからどうぞ。
第44期棋王戦中継サイト
出だしは相掛かり
出だしは相掛かり。お互いに中住まいに構える形。
相掛かりについては解説しません(できません)。
先手は飛車を激しく動かして一歩得を果たした末に、右玉へ。飛車は2五で保留したままだ。
7七桂がやや負担になってしまっているかもしれないこともあり、ソフト評価値は後手やや有利。
ちなみに相掛かりからの右玉は、以下のような対局もある。
畠山鎮七段、相掛かりから右玉へ変化!
2018年12月3日に開催された朝日杯将棋オープンの二次予選山崎隆之八段-畠山鎮七段戦で、畠山鎮七段が相掛かりからの右玉を採用してくれた。 畠山鎮七段といえば、双子の棋士として有名。「マモルは攻める」という言葉がある通り、攻め重視の棋風だ。...
渡辺棋王、機敏な4五歩
先手は6八銀として左銀を守備に参加させようとするが、ここで4五歩が機敏な一手。
玉頭だけに怖い面もあるが、好手だった。
同歩に3三桂が継続手。飛車に当てて逃げさせることで4筋を制圧できる。
2九飛と引いたところに1三角。次の狙いである4六歩打ちが非常に厳しい。
幻の4三銀打は成立したかどうか
少し進んで上の局面が本局のハイライト。桂馬で3二の金を取って、同銀とした局面。
本譜は4四歩として右玉の負けになってしまったが、4三銀打が成立したのではないだろうか?
この局面からソフト同士30秒で10戦対局させたところ、先手の6勝4敗。
というわけで互角以上の戦いができたかもしれない。
変化を少し見てみると、同銀、3三角成に3二銀と引く。
3二銀以外、例えば4二銀打なら2三馬があり、1三の角を外せることが大きく先手優勢。3二銀打と銀を投入するのは堅くはなるが、攻め駒が減ってしまうので先手が有利になる。
5一金打、3一玉、1一馬、4二玉とされて苦しい感じもするが……。
5二香打が粘りある一手。
この局面は後手としても難しい。ソフトの候補手は2二銀打として馬を封じ込める手と、4七銀打の攻め合いだが、いずれも互角の判断だ。2二銀打のほうがわずかに良さそうだが、まだまだ長い戦いとなる。
渡辺棋王が華麗に寄せる
4四歩に対しては角取りとなる5四歩が厳しかった。4三歩成とするしかないが5五歩と堂々と角を取られてしまう。
角を手持ちにされると先手は風前の灯。
最後は4六桂打ちで広瀬竜王が投了。残念ながら右玉の負けとなってしまった。
が、今後も棋王戦で右玉が登場することを期待しています。
そして右玉NOWは広瀬竜王を応戦します!