前回までのあらすじ
名人戦第3局、後手の豊島二冠は右玉を採用したのだった……
第77期名人戦で豊島二冠が後手右玉を採用!(第3局1日目)
現在行われている名人戦第3局で、後手の豊島二冠が右玉を採用している。 今回の名人戦は、佐藤名人に豊島二冠が挑戦中。最初の2局を豊島二冠が勝利しており、本局に勝てば名人にリーチとなる。 名人戦の中継サイトは以下から。有料です。将棋中継アプリか...
というわけで、名人戦第3局2日目を紹介したい。右玉を採用した豊島二冠は果たして勝ちきれるのか?
名人戦の中継サイトは以下の通り。
将棋名人戦・順位戦 全対局中継サイト
ニコ生の中継サイト初日は以下
【将棋】第77期名人戦 七番勝負 第3局 初日 佐藤天彦名人 vs 豊島将之二冠
2日目の中継ページは以下になります
【将棋】第77期名人戦 七番勝負 第3局 2日目 佐藤天彦名人 vs 豊島将之二冠
棋譜はこちら
2019-05-07 名人戦佐藤天彦 名人 vs. 豊島将之 二冠 第77期名人戦七番勝負第3局
封じ手の5五銀から5筋を巡る戦い
豊島二冠の封じ手は5五銀。これ予想された手だ。
少し進んで上の局面。後手の手が広いが、豊島二冠の手が凄かった。
5五角打!
銀も利いているところに角を打つ手。ソフトも少し読まないと候補に出てこない。
ソフトの本命は3三角打や2二角打だった。もしかしたらそちらのほうがよいかもしれないが、この手も悪くはない。
同角、同銀、同銀、同銀と進み、ごちゃごちゃしていた中央がさっぱりした。
この局面は後手の右玉がやや有利という評価だ。
先手の粘りで差が縮まる
少し進んだ局面。先手は角取りを放置して6二歩成。
応手が難しいところだが、同玉とすると、6四歩、同銀、5六角という手が気になるところ。そのため、豊島二冠は3四金と角を取った。
同玉と3四角はソフトに長時間読ませてみてもほとんど差がない評価。
その後、佐藤名人の粘りで評価はほぼ互角に。
猛烈に難しい終盤戦
局面は進み、佐藤名人が5二角と打ったところ。この角打ちは好手だった。
対する豊島二冠は6七銀と打ち込む。問題はこの局面で非常に難解だ。
実は先手の勝ち筋が1つある。
佐藤名人もその手は読んでいたようだが、すでに1分将棋に入っていて読みきれなかったようだ。
変化図1
正解は3四角成! と金を補充しつつ受けに効かせる手。この手を候補に上げるのは難しくないが、その先の変化は超難解。
6八銀成に同玉なら後手の勝ちもありえるが、同銀! と取るのが好手で先手勝ちとなるようだ。
以下、4八飛成が入って怖い局面だが、7三金打、9三玉、6一歩としたとき、8七歩と叩いて後手が勝ってそうに見えるが……。
変化図2
なんとこの局面では、後手玉が詰んでしまう。直前の6九歩とした時点では後手に詰みはない。どういうことか? 歩切れで合駒が悪いのだ(5/12間違っていました…修正いたします)。
(将棋中継アプリの解説では8七歩に同銀としているが、8七歩の時点で詰む)
詰み筋はこちら。17手詰めだ。自信がある人は考えてみてほしい。
2019/5/12追記
8七歩を入れた場合とそうでない場合で詰むかどうかは、玉が7六に逃げ込んだ変化で違いが出てくる
7六玉までの変化はこちら
6九歩、8七歩を入れた場合
7七銀左とすれば、王が8七に行くスペースがなく詰む。
6九歩、8七歩を入れてない場合
7七銀左は8七玉、7七銀右は6七玉で詰まない
後手玉が詰まず豊島二冠が3連勝を達成
佐藤名人の手は3四角成ではなく、8五桂。超難解な1分将棋とはいえ、この手は詰めろになっておらず、結果的に悪手だった。
豊島二冠は4八龍。これで先手の受けはない。
7三桂右成、9二玉、7四角成、8一玉と進み、佐藤名人は投了。6三馬なら王手はかかるが、王手の連続手による千日手は反則となるため、手段は尽きてしまった。
というわけで、豊島二冠の3連勝となったが、本局は終盤まで差がつかず、難解な終盤で名局といってよいだろう。佐藤名人も力を見せてくれたと思う。
ともあれ、右玉党としては名人戦の舞台で右玉が勝利したことは嬉しい限り。
右玉NOWは今後も豊島二冠を応援します!